思い出のゴハン
―たまごのごはん―
まだ記憶が定かではない時期。
今回の話は記憶の断片2割と母方の祖母から聞いた話8割で書いている。
確か幼稚園の頃だったと思う。
何らかの用事で両親が出かけることになったときの話である。
その間、祖母が面倒を見にきてくれた。
孫に好きなものを食べさせたい。
さあ、何でも作ってあげるよ!
勇んで「何が食べたい?」と尋ねた祖母への答えが冒頭のメニューである。
祖母はキョトンである。
どんなメニューなのか尋ねる祖母。
「茶碗にご飯をよそってね、
卵を割ってね、
醤油を入れてね、
ご飯にかけるの!」
おわかりいただけるだろうか。
卵かけご飯である。
ハンバーグだとかカレーライスだとか子どもが欣喜雀躍しそうなメニューを期待していたであろう祖母は肩透かしである。
果たして、その日の夕飯は何だったのかは覚えていない。
よっぽど印象に残ったのだろう。
この話は何度も祖母が聞かせてくれた。
初孫だったこともあり、祖母には本当に可愛がってもらった。
学校の長期休みなどは祖母の家に遊びに行くのが楽しみで仕方がなかった。
そんな祖母が亡くなってから一年以上経った。
卵かけご飯…たまごごはん
このシンプルなメニューが大好き祖母との思い出ゴハンである。
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