あの日、たくらんだこと。
誰にも話した事のない記憶を
話してしまいましょう
初めて家出をしようとしたのは
小学校入学を直前にした
6歳の春でした
時刻は
午後2時頃だったでしょうか
天気は
晴れ、よく晴れた日曜日の午後でした
理由は…
記憶が曖昧です
とにかく
家出を決意した僕は
祖父が買ってくれたランドセルの
おまけに付いてた大きな手提げ袋に
大切なモノを全て詰め込みました
もうここにはいられない
この家を出る!
強い思いだけを頼りに
手提げ袋を持って玄関へ
そこへ1台の車が…
いつもよく来る親戚のおじさん
「おぉ~!元気かぁ?なにしてたぁ?」
陽気なおじさんが話しかけてきます
「お、お…おぉ~…元気…」
思わず手を振り返してしまいました
「アイス買ってきたぞぉ!食べようぜ!」
おじさんは
自分の家の様にズカズカあがっていくわけです
「お、おぉ~…た、たべる…」
僕も
おじさんの後ろについて戻ることになります
手提げ袋は
そっと素早く見えない所に隠しました
こうして
僕の人生初の家出計画は
未遂に終わりました
もし、あのまま成功していたら
ゾッとします
ゾクゾクもします
どこへ向かい
どこまで行き
どこかへたどり着けたのか
僕の人生は
どう変わっていったのか…
とりあえず
僕は
親戚のおじさんと
居間でアイスを食べました
そしたら
なぜか
家出する決意は
いつのまにか
すっかりなくなりました…
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