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「岳飛伝」に学ぶ変革に必要な4つの視点

北方謙三さんの書籍「岳飛伝」全17巻をついに読了しました。第1巻のnote投稿が8月となっていたので、約半年をかけて完走いたしました。
「水滸伝」「楊令伝」と合わせてると全51巻となる超大作となりますが、楊令伝→岳飛伝の間は数年のブランクがあったので、登場人物の多さには苦労しましたが、大変楽しく読み通すことができました。


まとめ

「岳飛伝」や「大水滸伝」に関して解説したネット記事はたくさんあると思いますので、ここではどのように梁山泊の志を成し得たのかという視点で振り返ってみたいと思います。岳飛伝を通じて、感じ取ったポイントは次の4つでした。

  • 戦略

  • フラット組織

  • オーナーシップ

梁山泊では「替天行道」という志を掲げ、水滸伝・楊令伝・岳飛伝と紡がれていく。水滸伝の時は晁蓋の言葉として始まり、そこに同志たちが集まるビジョンとして掲げられていた。宋が消滅したことで行き先を見失ったようであったが、楊令伝では楊令が物流を軸とした国としてた新たな意義を見出していった。

岳飛伝では絶対的なリーダーは存在しておらず、個々が志を持って行動して行ったことが非常に印象的であった。企業や組織のビジョンやミッションはキックオフなどで語られることはあっても、すぐに言葉にできる人は少ないだろう。梁山泊の同志たちはそれぞれの置かれた立場で、志は何かを考え・語り・腹落ちさせて行っていた。

カリスマがいないと変革は推進できないと考える人も少なくないが、一人一人が考え・行動することで実現していった本書は勇気をもらえた人も多いだろう。そのための1つとして「志を定着させる」は忘れずにいたい。

戦略

梁山泊の戦略は、塩の道から始まり物流へと「資本主義の力で戦う」であったのではないだろうか。金国は武力、南宋は政治を主眼において活動しており、それは長い歴史の中では当たり前と考えられた通年であったと思う。そんな中で寡兵で戦う梁山泊は、「同じ土俵では戦わない」としていたと思う。

物流を押さえることで、食糧不足を誘導したり、情報伝達をリードしたりと今までとは違った戦略で戦いを有利にして行ったのは、とても面白く読ませていただいた。現在では当たり前なのかもしれないが、そのような考えを中国歴史小説の世界に持ち込んでいたのは興味深かった。

フラット組織

梁山泊では、総括として王貴と宣凱、軍を率いる呼延陵、水軍を率いる李俊など多くのリーダーがいるが、とてもフラットな関係性が描かれている。隊長と部下の関係はあるが、意見を聞き入たり、食事をしたりする風景が描かれている。対照的には金国では上下関係がかなりはっきりしていた。

尊敬や敬意を持って接することは必要であるが、過度な組織を作ってしまうと変化の激しい時には動きが取りづらくなってしまうだろう。ぜひ、メンバーとはフラットな関係を気づいていきたいと思う。

オーナーシップ

梁山泊のメンバーは常に危険と隣り合わせであるが、なんとしてでもやり切るという気概を持って生きているようであった。オーナーシップを感じられる場面を上げればキリが無いが、李俊達が沙門島を取り戻す時の活躍は熱いものがあった。

どんな仕事であったとしても当事者意識を持った人がいるというのはとても心強いものである。志を語り、そんな人を少しでも増やしていきたい。

終わりに

岳飛伝は読み終わりましたが、タイミングよく「チンギス紀」が文庫で刊行されていた。伝説の武器「吹毛剣」がモンゴルにわたり、モンゴル帝国が作られていくそうだ。内容は全くわからないが、こちらも楽しんでいきたい。

こんな人におすすめ

  • 歴史小説(特に中国)が好きな方

  • 長編小説にチャレンジしてみたい方



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