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動いている図書室

この図書室は広いキャンパス内でも本館から少々離れた場所にある分室で所蔵量は本館遠く及ばないながら、図書室内の蔵書の約半数は洋書が占めている。

学部の名前からしても、外国の文化について学んでいる学生が多い。そのため、洋書の貸出・複写が多いのと同時に、和書に分類される外国語のテキストの貸出も多いのだ。

今年度、ドイツ語やフランス語の検定テキストが大量に新着図書といて受け入れがあった。学部に所属する教員の希望で購入希望があり、しかも非常に学生のことをよく考えてくれているためか、すべて3冊ずつの購入である。素晴らしい予算の使い方である。

受け入れる側のスタッフとしては、8 門の言語の棚のスペースがなかったため(こんなに大量の受入であれば何門であろうが空きはない)、新着図書コーナーに配架しているうちはブックトラックへ別置し、なんなら新着図書コーナーへの配架期間を超えてもそのままブックトラックで別置していた。だがいつまでもそうしているわけにはいかない。なんとかかんとか8門にスペースを作り出し、晴れて書架へ配架されていった。書架に配架された後もなかなかの存在感である。いいぞ。

ここ最近、特に貸出希望が増えたように思う。授業でテキストで勉強するように指導があったのか、そして学生の中で、あそこの分室できれいなテキストが借りられるよ、と口コミで広がっているような気配がする。

先日は、友人同士で同じテキストをそれぞれ貸出していった。「仏検対策 3級問題集」である。ほかにも「仏検公式ガイドプック:傾向と対策+実施問題」などを1冊ずつ2人連れ立って借りていく。

穴場とはよく言ったもので、知る人ぞ知る、という所蔵でもあるので、なかなか予約が入っているということもない。

それに、やはりというべきか、購入希望を出してくださった先生さすがです!!複本があるので、3冊すべて貸出中ということは滅多にない!!

こうやって学生が使っていると図書室が生きているような、空気が循環しているような気がしてくる。

動きがあるって素晴らしい。

本館の書庫や開架書架を“森”のようだと思っているけれど、
私の図書館勤務のはじまりになったこの分室はまるで

“海の下”です。

アリエルが静かに本を読んでいる空間みたい。
そしてたまに訪れる利用者が海の中の空気を、
海水ごとかき混ぜて動かしていく。

妄想捗ります


購入希望を出した先生の権力なのか、それとも大学事務室側の計らいなのか、利用者が少ない分室に3冊ずつの購入をするのってなかなかの決断力がいることだろうに、それをやってのけたバックヤード側、そして需要と供給がマッチした(どちらかというと供給に余裕があってしかるべきという前提のもとで)現場を目の当たりにすることができて感無量でした。

もっともっと学生たちの中で広まってくれないかな〜なんて欲が出てきています。

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