Connected Gaming: An Inclusive Perspective for Serious Gaming Yasmin B. Kafai

ゲームを用いた教育について沢山の論文を書かれているKafai先生の論文
https://doi.org/10.17083/ijsg.v4i3.174

で閲覧可能。
Connected Gameというコンセプトの有用性を論じている論文になるのでしょうか。
アブストラクトには
connected gaming, which is combining the instructionist approach on having students play educational games for learning with the constructionist approach on having students make their own games for learning.
とあり、学習のために生徒に教育ゲームをプレイさせるインストラクショニスト(指導)アプローチと学習のために自分でゲームを作らせるコンストラクショニスト(構築)アプローチとを繋げる概念のようである。
→なるほど、すでに両者をつなげようとする試みがあるのですね。

目次
1 Introduction
2 Examining connections between playing and making games
3. Informing design and research in connected gaming
4. Realizing connected gaming
5. Challenges for connected gaming
6. Conclusions


1 Introduction
“Every educator must have felt some envy watching children playing video games: If only that energy could be mobilized in the service of learning something that the educator values. But the envy can take very different forms. Instructionists show their orientation by concretizing the wish as a desire for games that will teach math or spelling or geography or whatever. The Constructionist mind is revealed when the wish leads to imagining children making the games instead of just playing them. Rather than wanting games to instruct children they yearn to see children construct games.”

Papert’s [38, p. ii] assessment was remarkably prescient
最初にPapertさんの文章の引用をしている。なんかかっこいい
「ゲームが(教えてくれるという)指導者側の願望を叶えてくれるものとして具体化しようとその志向性を見せる。その願望が子どもたちがただゲームをプレイするのではなく、ゲームを作るということを想像を導いたとき、構築主義者のマインドが明らかになる。彼らは、ゲームを通じて教えたいのではなく、子どもたちがゲームをつくるところを見たいのである。」

とても納得できる。多くの先生たちもそう思っているだろう。だからPBLやアクティブラーニング、ゲーミフィケーションなど様々な手法を授業で試そうとする。

この章ではconnected gamingという概念を構築する必要性を論じている。最後の方のこの文章
Rather than treating playing and making games as two separate pedagogical activities, they should be considered as overlapping, mutually informing instructional strategies for learning—as connected gaming
ゲームを用いた学びとゲームを作りながら学ぶ、これは二つの別々の教育活動としてとらえるのではなく、相互に関係しあう、乗り越えるようなものとして考えるべきだと、それが(Connected)Gamingという言葉として昇華・統合させている。なるほどその通りだ。(続く)
こうやって新しい概念が論文を通じて構築されていく様をみると、ちょっと身震いというか興奮する。自分で勉強することはやはり楽しい。

2 Examining connections between playing and making games
ここでは、ゲームで遊ぶこととゲームをつくることとの共通点や違いを検討している。
Making games embodies many of the very same learning features that Gee saw in playing games—namely, providing highly-responsive contexts for complex problem-solving that motivate a learner’s engagement with the game, content, and others.
共通点としては、学習者のengagmentを動機づけるような複雑な問題解決に応答的なコンテキストを提供することであるとして三つ紹介している
第一にフィードバックを得ながら、何度も修正していくプロセス、そして そのプロセスの中で、正解は一つではなく、多くの可能性があり、その中から最適な解を見つけようとすることにも意義がある
第二にゲームの持つ強力な動機付けである。やる気を継続しながら、何度もプレイできる。ゲーム制作にも最終成果物(ゲーム)をつくるとという動機を文脈化することができる
最後に、ゲーム制作は社会性をもっている。オンラインゲームやゲームコミュニティ(裏技やクリアする方法を教えあうなど?)があるように、ゲームを作るためには他社との交流や協調が必要になる。
そして、スクラッチやマインクラフトでわかるとおり、ゲームカルチャーはすでに、ゲームをプレイすることと作ること両方の側面を体現している。

3. Informing design and research in connected gaming
ここでは、instructionist 教授主義と constructionist構築主義をゲームプレイとゲーム制作という風に区別しながら、それぞれのアプローチが、もう一方のアプローチから学べる、取り入れることが出来る点を探るという形で両者を比較検討している。

4 Realizing connected gaming
ここでは、ゲームで学ぶとゲームを作りながら学ぶの両者を統合したconnected gamingの実際の例を紹介している。まずマインクラフト、そしてマインクラフトを教科教育にとりいれた教育実践を紹介している。

5. Challenges for connected gaming
ここでは、connected gamingのアプローチの課題を述べている
1つはより広く参加してもらうこと、2つはその参加を深めていくこと
それぞれ述べられている

6. Conclusions
Digital games are no longer just a medium. They have also become a method to transform learning and everyday activity. In playing and making games, we come to understand, change, and re-make the digital world in which we live and participate. This is the function of literacy, of any literacy.
ゲームはもはや単なるメディア(媒体)ではない、ゲームは、学習と日常を変容させる手法ともなっている。ゲームで遊び、ゲームを作る中で、自分たちが生き、参加しているデジタル世界を理解し、変え、作り直すようになる。これこそが、リテラシーが持つ機能である。

Ultimately, connected gaming’s goal is to promote environments good for learning, and it is here where constructionist approaches join instructionist efforts.
最終的なconnected gamingの目標は、良い学習環境を促進することである、そして構築主義的アプローチが指導主義アプローチの取組に参加するのはここである。

This is the case for “connected gaming”, an approach that doesn’t draw boundaries between players and designers as participants of digital media culture but rather sees them as complimentary to each other・・・

コネクテッド・ゲーミングはプレイヤーとデザイナーの間に境界線を引かず、お互いを補完し合うものとみなすアプローチである

という形で終わっている。
確かに、マインクラフトやスクラッチはプレイヤーであると同時にクリエイターであって、オンラインを通じて多くの人と交流できるし、コミュニティをつくっている。深くは考えたことはなかったけど、ゲームの持つ社会性あるいは社会を変化させる力は実際にあるのですね。勉強になります。

これとは別の論文(Connected Gaming: Towards Integrating Instructionist and Constructionist Approaches in K-12 Serious Gaming)では、ゲームデザインの効果として
The 4C's of constructionist Gaming として
Coding、Collaboration,Creative,Criticalを挙げていて、constructionist approachesと instructionist approaches双方に見いだせるとしている。
そしてシムシティをみればわかるようにconstructionist approachesと instructionist approachesはmerger統合している。そしてそれがconnected gamingであると主張している。

この論文は両者の相違点を先行研究を踏まえて論じているし、その統合の可能性をも論じていて、非常に勉強になる。そしてそのアプローチが日本においてどのようにインプリケーション可能なのかを考察してみたい。

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