見出し画像

移民・難民のパラダイム (中)

―リベラル思想ほど怪しい民主主義はない-

 
 今回も2023年12月に書いたものです。前回のレポートの続編として出しました。私個人は、移民問題の本質はバイデン政権が、どれだけ出鱈目な移民・難民・不法滞在者を入れてきたかを、数年前から指摘してきました。この争点は、難民・不法滞在者が可哀そうという問題ではありません。いまの日本の報道は、トランプ大統領が冷徹で非人道的な政治をしていると、各社が同じ論調で報道をしていますが、線の以下を読めばトランプ大統領がしていることが常識的なことだということがわかります。
 日本の論調のように、移民・難民で他国から来ている人は、来たから受け入れればいいということではありません。2010年以前から、移民・難民問題は深刻な問題になっていて、低所得者層が移民・難民によって職が奪われて、どんどん貧困になっていく現実がありました。その実態をアメリカ大手メディアは、「報道しない自由」を使って事実を伝えてきませんでした。
 日本のメディアも、表層的なことを報道するだけで、アメリカの庶民生活(カナダも同様)がどのように壊れてしまったかを、報道をしませんでした。あまりにも、情緒とリベラル思考に引っ張られて、いま起きている現実を伝えていません。いま、日本は非日常の世界で、遠い国の世界として考えていますが、必ず日本にも2~3年のうちに来る問題です。

 「頭の体操だと思って、国境とは何なのか?」 

 考えるきっかけとして映画を紹介したいと思います。ハリウッド映画ですが、いろんな問題を含みながら描かれています。映画全体はフィクションですが、部分的には事実が含まれているので、メキシコとアメリカの国境で、なにが起こっているかが見ることができます。銃と麻薬と不法入国は、裾の広いビジネスとしてなっていること。そして、アメリカに移民で入った子が、マフィアと隣接の関係で内側からも繋がっている現状が見れます。
 前回のCBPのレポートでもわかるように、表の数字だけでもバイデン政権になってから、突然に人数が上がっています。毎年、200~300万人が申請や入国しに来ているということは、それ以上に不法入国で入ってきているということです。実態の数字は、誰もわかりません。
 国境の問題は、塀や鉄格子を作ったとしても100%取り締まることはできません。北海道 宗谷岬~鹿児島 佐多岬の先まで、2700kmで、メキシコとアメリカは3150kmです。あまりにも距離がありすぎて、不可能に近いです。その中で、国と庶民と闇の世界が、どのように絡み合って生きていくのか、日本も考える時期に来ています。
 


 
 アメリカの移民・難民問題の話しには続きがあって、笑い話しにしかならないアメリカ政治の実態があります。この問題は、政治が2極化するほど馬鹿げた状況になり「難民のババ抜き」になっています。共和党になってから移民・難民規制を緩和したことによって、大量の移民や難民がテキサス州に入り込み、テキサス知事は「自治体ではどうにもならない」と悲鳴を上げる状態までなりました。本来テキサス州は、トランプ政権と同じ規制の立場でした。民主党は、リベラル思想とポピュリズムの政治をして、メキシコ国境沿いの州が抱える問題を無視した政策を続けました。民主党の国会議員は、綺麗ごとばかりを言って、理想だけで無策の政治とポピュリズムの政治をしてきました。著名なところでは、ニューヨーク市長も移民緩和を主張してリベラル姿勢を強調してきました。

 さすがに堪忍袋が切れたテキサス州知事は、その移民と難民をまずはニューヨーク市とワシントンDCに、バスをチャータして移送する手段に出ました。2200km以上離れているところに、バス200台に4000人を乗せて子供の喧嘩のような政策がはじまりました。驚いたのは、ニューヨーク市長です。いままでは、他人事として捉えていたことが、突如、ニューヨークに大量の移民・難民(とは言っても、浮浪者)が街のいたるところに出現しホームレスだらけになってしまいまいた。1日に何百人の宿なしの人が送られ、ニューヨーク市は一瞬にして景色がかわりました。彼らの住む場所や生活用品の確保をしなくてはいけなくなり、市内ではとんでもない有事が起きました。図を見てもわかるように、テキサス州だけで、これだけ多くの難民を各町に移送をしました。送りつけた街は、リベラル思想の民主党基盤の空論をしているところに送りつけました。名が出ている街は、民主党色の強い街です。
 
「Daily mail」の写真と動画を見るだけでも何が起きているのか解ります。 2023/11/23
 


 結果として、毎日送られてくる難民・移民に対して、ニューヨーク・アダムズ市長も悲鳴を上げることになりました。10月には、「毎月1万人が市に流入して、トータルで11万人以上になった。このままでは市の財政がもたない。」と声明を発表しました。ニューヨーク市の条例によると、難民がニューヨーク市に居住希望した場合、無償で住居を提供することが義務付けられ、彼らの衣食住から子供の教育・医療まで保証する規定があり、とても市の財政だけでは賄えない状況にまで陥ってしまいました。
 
 アダムズ市長は、「これから3年間、流入移民に関連する支援サービスの予算を120億ドル(約1兆7700億円)かかる」と試算の発表をしました。
 ニューヨーク市という小さな自治体にかかる費用だけで、この金額ということは、
   アメリカ全土でどれだけの金額がかかるのか?

 考えただけでゾッとする金額になることは明白です。当然、ニューヨークの市民はこの政策に納得はしていません。ニューヨークは家賃が高騰して、生活に苦しんでいる人はたくさんいます。その状況で外国人に生活保障をして住民保証をしない政治のあり方に、住民自治は「誰のためにやっているのか?」民主主義の根幹が問われる事態になっています。

 いまは、流入移民・難民の排斥運動は表面化していませんが、来年には局面が変わると見ています。アメリカは、自ら民主主義を壊し、自国民の生活を政治力で壊してしまいました。日本もどうしょうもない政治をしていますが、アメリカも同様に政治が国民を守らない「政ごと」をしています。むしろ、アメリカの方が深刻な問題になっています。以前にも書きましたが、LGBT問題で住民が分断化し自治が出来ないところが出ていることを書きました。
 今回は、移民・難民問題でさらに自国民を苦しめしめ、不景気の中で庶民はさらに負担をする馬鹿げた政治をしています。いつまで、リベラリズムとポピュリズムの政治を続けていくのか、アメリカも表面化しない内紛がはじまっています。大手メディアは、取り上げていないので庶民は気づいていませんが、この大統領選で必ず争点になり表面化していくでしょう。そのときに、また国民は分断化して、アメリカは亡国に向かっていきます。

 多くの日本人は、戦後の絶対的な国家としてアメリカを想い描いていますが、世界の覇権をする力は無くなってきています。そして、アメリカは国として優秀だと思っている日本人は、考えを改めるべきです。移民・難民の政策1つ取っても、アメリカ政治の稚拙さと愚かさが解ったと思います。

 こんな国に、いつまで日本は追随していくのか?

 世界は、大きな激動の渦に巻かれて、すべてリセットをしようとしています。その現実を日本人は正確に捉えずに、過去の既定路線で未来を見ています。戦後レジュームの脱却は、日本だけでなくアメリカそのものもしなくてはいけない時期に来ています。
 アメリカ政治の中心は、無神論とリベラル政治が中心になり、いかがわしい民主主義になっています。ニューヨーク市長ではありませんが、リベラル政治の先にはユートピアでなく地獄絵図しかならない現実を作ってしまいました。いまの日本は、アメリカに追随することばかりしていますが、日本は独自の見方で国家観・民族観を取り戻すべきです。この機会を逃したら、アメリカに引きずられて亡国の道に行くでしょう。
 本来、日本は議員の収支報告問題で「日本の政ごと」をしている場合ではありません。民・官が、どこを一致させて未来の日本に向かっていくのか。世界は、いままでの秩序が壊れて、どこを見渡してもまともな国づくりをしている場所はありません。日本は、世界のどの国よりも将来の希望を持っている唯一の国だと見ています。
 いったい日本の優秀な頭脳は、どこを注力して世界の激動を見ているのか? 過去のイデオロギーに引きずられない人材が出てこないと、大きな邪鬼に飲み込まれてしまいます。日本は、先人が持っている英知に耳を傾けるだけで、世界の暗黒から抜けられる唯一の国であることを日本人は気付くべきです。
 


 次回は、移民・難民のパラダイム(下)の前に、ヨーロッパですごいことが起きたので、そのことの記事を載せます。世界は、すごい勢いで動いています。日本だけが、取り残されているようにも見えます。


いいなと思ったら応援しよう!