『もとちゃん』と洗濯物
昨日持って帰った母の洗濯物と父の洗濯物を車に積み込み、
施設で母を拾い、病院へ向かいました。
今日の父は、何かを探していました。
「そこらへんにメモはないか?」
と聞かれましたが、あるはずありません。
病院にメモは持ってきていないので。
きっと家にいたときのことを思い出して
言ってるのだろうと思いました。
「お父さん、メモはないよ」
「そうか、じゃあ、こう、書くヤツを・・・」
「ん?ホワイトボードのことかな?」
「そうじゃそうじゃ」
「じゃあ、家にあるホワイトボードを持ってこようか?」
「そうしてくれ」
それから、耳かき(綿棒のこと?)と
ハエがいるからはえたたきがほしいと言います。
うーん、綿棒はわかるけど、ハエはいないでしょう。
認知症でよくわからないことを言うときもあれば、
まっとうなことを言うときもあるので、
本当に父が欲しいのかどうかわかりません。
とりあえず、「はいはい」と聞いておきました。
そこへ看護師さんが来られました。
「自分で点滴を抜いてしまって少し汚れたので、着替えています。
ベッドパッドにも少し血がついたので、洗ってきていただけますか?」
「お手数をおかけしてすみません。持って帰って洗ってきます」
続けて・・・
「私の名札(H本さん)を見て、
『もとちゃん』って言われるんですよ(^_^)」
「え?そうなの、お父さん!」
父はにこにこ笑ってうなずいています。
「ほら、ここに書いているでしょう?」
「え??これ、父が書いたんですか?」
「そうですよ(^_^)」
病室の棚の上にクリップボードがあり、
それに挟まれている紙に何やら文字が書かれていることには
気がついていました。
ですが、実家を離れて以来
何も書こうとしなかった父が書いたとは思わず、
てっきり看護師さんが何かメモされたのだろうと思っていたのです。
確かにその紙には、
「H本 もとちゃん」
と書かれていました。
そっか・・・。
お父さんが探していたメモは、このことだったんだね。
気がつかなくてごめんね。
「準備してくださってありがとうございます。
父がホワイトボードが欲しいと言っているのですが、
持ってきてもかまわないでしょうか?」
「もちろんいいですよ(^_^)」
「お父さん、『もとちゃん』の言うことをちゃんと聞かなくちゃね」
父はにこにこ笑顔です。
そしてどうやら『もとちゃん』は、
父の教え子設定になっていることがわかり、みんなで大笑い(^▽^)
『もとちゃん』のおかげで、
楽しいひとときを過ごすことができました。
その後、父が「寒い」と言い出しました。
あったかベッドパッドを取り除いたためでしょう。
「お父さん、お父さんが点滴ぬいたでしょう。
だからベッドパッドが汚れちゃったんだよ。
もう、点滴ぬいたらだめだよ」
「わかったわかった」
『もとちゃん』からは、前開きのシャツと
お腹が空いたときにつまむものを
持ってきてほしいと言われました。
たいてい食べない父ですが、
今日はお腹空いたと言ったらしいのです。
良かった・・・。
面会後、母と洗濯物を施設へ届け、実家へ向かいました。
以前入院したときに買った前開きのシャツを探し、2枚ゲット。
あったかベッドパッドも探し、押し入れからゲット。
居間にあるホワイトボードと、念のため綿棒もゲット。
それらを抱え、父の好きなどら焼きも買って、再び病院へ行きました。
これで父も寒くないでしょう。
看護師さんに聞いたところ、
やはり前開きシャツ2枚では足りないとのこと。
帰りにドラッグストアで2枚買い足して帰宅しました。
そして現在、絶賛洗濯中です(^_^;)
お父さん、点滴、もう抜かないでね・・・。