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連載【仕立て屋の繕う日々】

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毎週火曜日更新。ドレスの仕立て屋が綴るおしごとエッセイ。 だいたい1000字程度で、さらっと読める日記風エッセイです。
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記事一覧

「夢のある仕事」は、記録と段取りからつくられる|繕う日々

「夢のある仕事ですね」と言われる。 わたしの仕事は、ウェディングドレスのリメイクをするこ…

【繕う日々】誰よりも楽しみにしております

 はじめてのお客様とのやりとりの最後に「お会いできるのを楽しみにしております」という言葉…

【繕う日々】好きだけがわたしの才能だったから

 なんでウェディングドレスをつくっているのに、大学院で研究もしているのか。それは、わたし…

【繕う日々】わたしたちにしかできないと思えるしあわせ

 ドレスのリメイクをしていると、「これはわたしにしか作れないんじゃないか」と思うドレスに…

【繕う日々】リメイクドレスができるまでを写真で辿る

お母さまのウェディングドレスのリメイクが完成するまでの流れを、写真で辿ってみます。 今回…

【繕う日々】お母さまとの時間をつくるウェディングドレスのリメイク

 ことしもたくさんのウェディングドレスをリメイクさせてもらった。そのほとんどが、「お母さ…

【繕う日々】白という色について

 白に惹かれ、白に取り憑かれた人生を送っている。小物や服、家電も白を選ぶ。「迷ったら、白」と決めているが、迷うことはほとんどない。歴代のiPhoneも手帳も、ずっと白だ。  ウェディングドレスをつくるという仕事柄、仕事でもとにかく「白」に向き合う。白いアトリエで白衣を着て、真っ白なドレスをつくっている。  白は最強だ。美しく、圧倒的な存在感がある。清純さも、高貴さも持ち合わせた光の色。しかしその分汚れやすく、色褪せや変色もしやすい。扱うときは細心の注意を払わなければならな

【繕う日々】森のなかのドレス屋という、ぼんやりとした夢

 達成したい「目標」と叶えたい「夢」。このふたつはよく似ているようでいて、ちょっと違う。…

【繕う日々】ひとの手の跡は仕事に残る

 ドレスをリメイクする仕事をしていてつくづく思うのは、人の手の跡は必ずかたちに残るってこ…

【繕う日々】空っぽのアトリエで行ってらっしゃいと呟く

 ドレスを納品した朝、空っぽになったアトリエとトルソー。  ドレスを納品し終わると、アト…

【繕う日々】世の中には、ドレスを着せる、という仕事がある

 ドレスを着せる、という仕事がある。「フィッター」と呼ばれる仕事だ。文字通り、ひたすらド…

【繕う日々】いま、青森にいる。

 わたしはいま、青森にいる。  研究調査のために青森に来ているのだ。今日はいちにちじゅう…

【繕う日々】ドレスを縫うときにだけ発動する謎の特技

 ドレスを縫うときだけ、両利きになれるという謎の特技を持っている。  わたしは右利きなの…

【仕立て屋の繕う日々】ドレスと学問は両立できるか?

 「ドレスと、学問は両立できるか?」  ここのところ、そんなテーマをかかげて生きている。  わたしはドレスをつくる仕事をしている。そのかたわらで、日本の繊維製品の歴史についての「研究」もしている。  最初はじぶんの興味と関心のためだけに、日本各地の繊維製品をめぐる旅をしていただけだった。ところが知れば知るほどそれだけでは物足りなくなってきて、とうとう通信制の大学院に入って研究をするようになった。  うすうすわかっていたことではあるけれど、これがけっこう大変で。なんでこ