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35年10兆円のロボット市場も夢物語ではなくなってきた!?

ビジネスパーソン向けに社外でロボットについて講演するときことがちょこちょこあります。
その場合には、ロボットに詳しい人もいれば、全く初めて聞くという人もいて、最初の意識合わせという意味で、マクロなトレンドの紹介から入ることが多い。

最もわかりやすいのが、「市場規模」ーー。
幸いなことに、ロボットに関しては、国、民間、業界団体などいろいろなところが市場データを予測、公開してくれています。

現時点での実力値を知る上では、とても役立つ市場規模であるが、未来の予測に関しては、あんまり信用ならないなぁ~と思っていた。が、、、、最近はそうでもない雰囲気になってきた!というか、意外とかなり良い線をいっているのではないかと尊敬すらし始めている。

というわけで、自分の気持ちの変遷を整理してみたい。

最初に出会ったロボット市場予測

最初にみたのはこのデータ。

ロボット市場予測(引用:21世紀におけるロボット社会創造のための 技術戦略調査報告書、2001)

2000年といえば、まさに第二次ロボットブーム。ASIMOやAIBOなどが世に出され、これからは新しいタイプのロボットが世の中を席巻する!という時代。

それを反映するかのように、特に生活分野の中のロボット市場が急拡大し、2025年にはそれだけで4兆円規模、全体では「8兆円」規模になるという予想が出ていました。

なんと夢のあるデータ!!

このデータが発表された2000年頃には、少なくとも私はロボットに全く興味がなく、おそらくこのデータを初めてみたのは、研究を始めた2000年代後半(一番遅くて2010年頃)だと思われます。

残念ながら、このデータを2000年代後半には見たときには、まだまだ製造業以外ではロボットはほぼ使われておらず、世の中の予測というのはなかなか難しいものだなぁ~と思ったことを覚えています。

特に、難しいサービスロボット市場の予測

産業用ロボットの市場はすでに確立していたので、ある程度の予測が可能な状態にあったのだろうと思うのですが、生活分野などサービスロボットといわれる分野のロボットは、予測時点でそもそも市場がほぼない状態で、いつ立ち上がり、どれくらいの速度で成長していくのかという二点を見極める必要があります。

それは確かに難しい!!

産総研の荒井先生は、2008年の時点で「ロボット産業に関する市場調査・市場予測の比較と分析」という発表をされています。正確には、国内トップクラスのロボティクスシンポジア2009に投稿したけど不採択になった原稿を、ご自身のページにアップされています。

その中には、以下のグラフが紹介されています。

次世代ロボット(非製造業分野)の市場実態調査・市場予測(引用:荒井、ロボット産業に関する市場調査・市場予測の比較と分析、2009の図4)

2008年の投稿データですが、そもそも予測したタイミングが異なるので、一概に評価するのは難しいのですが、2010年で数10億円~2兆円、2015年で1000億円から3兆円と、まさにオーダーが違うというレベルで予測が行われていて、その難しさが読み取れます。

2010年に国が公式アップデート

このあたりからは、自分の記憶でもしっかりと覚えているのですが、2010年には経済産業省とNEDOが改めてロボットの市場予測が発表しました。

2035年10兆円!!という数字は、ロボットに携わる多くの人が見たことあるデータかもしれません。

2035年までのロボット市場予測(引用:NEDOホームページ

国側からはそれ以降、市場予測という形では発表されていないと思われます。(私も携わったことのある試算プロジェクトがありましたが、おそらく一般に公開までには至っていないと思われます)

前回(2001)の発表の際には2025年8兆円だったデータが、この時(2010)には2035年10兆円になっています。2001年側のデータも見ていたので、
「横にスライドしたのね!?」
くらいの印象でしか見ていなかったのですが、今回よくよく見てみると、

「結構当たってるんじゃないでしょうか!?」

あれれ、すごい精度だ!

まず2015年。
富士経済の「2016 ワールドワイドロボット市場の現状と将来展望」のリリースデータを見てみると、2015年の実績値は
製造業向けロボット:7,110億円
半導体・電子部品実装向けロボット:4,278億円
非製造業向け(サービス系)ロボット:4,939億円
→合計:1.63兆円
と、2010年の予測値1.6兆円とほぼ完全に一致しています。
驚愕!!

もちろん、それぞれの予測しているカテゴリー範囲は微妙に異なるはずなので、ドンピシャという感じではないのでしょうが、それは置いておいても規模感の予測としては凄まじいですね。笑

そして、2020年。
富士経済の「2021 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 No.1 FAロボット市場編」「2021 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 No.2 業務・サービスロボット市場編」のリリースデータを見てみると、2020年の実績値は
製造業向けロボット:9,970億円
半導体・電子部品実装向けロボット:5,539億円
非製造業向け(サービス系)ロボット:2兆円3501億円
→合計:3.9兆円

先の10年時点での20年予測が、2.9兆円だったので、それなりに当たっている!?と思ってましたが、3.9兆円のうち、一兆円弱はスマートスピーカが入っていると思われ、そういう意味では、ほぼほぼ数字としては当たりっ!という感じです。

というわけで、2000年の時から比べると驚くべき精度で将来が来ているということがわかります。

2010年予想時には、25年か5.3兆円、35年が9.7兆円。

結構な飛躍が必要となりますが、23年の富士経済の最新予測でも、産ロボは27年に3.1兆円、サービスロボは30年に4.2兆円となっており、10兆円産業も夢物語!という数字よりは現実的な目標値となっているような感じです。

数字の精度よりも、なぜその数字が達成できたり、できなかったの方が大事な気もしますが、規模も大事なのは間違いない!

というわけで、業界の皆さん、頑張っていきましょう〜!!


では、また来週~!!
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安藤健(@takecando)
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安藤 健/ロボット開発者
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