O'right:食べられる歯磨き粉などホントにまるごとサスティナブルな台湾企業。
2020年グッドデザイン賞金賞に選ばれ話題となった「O'right社の歯磨き粉」。
審査員コメント(石川善樹さんとかが担当されていますね)を読むと、
これまでの環境負荷の高いものづくりをゼロから新たにした画期的な取り組みと、目的意識と美意識の高い企業カルチャーや経営哲学を高く評価する。化学物質を含まないゼロカーボンパッケージ、循環型のプロダクト、社員のエンゲージメントまで、人と地球に優しいホリスティックでグリーンなライフスタイルの提案は、誰もが目指すものではあるものの、実現させることは非常に困難。それを愚直に成し遂げ、美しく実現している。世界でも類を見ない企業デザイン事例。
同じく審査員の石川俊祐さんも実際に歯磨き粉を食べながら、歯磨き粉のイノベーションと表現されています。
気になったので少し調べて見ると、あまりの徹底ぶりに凄みを感じ、これからのラグジュアリーとはこういうことなんだろうなと思いました。
O'right社とは
O'right社は2002年に設立された台湾発のヘアケア製品のメーカーです。董事長は、葛望平(Steven Ko)さんで、ご自身が子供の頃から重いアレルギー体質で化学物質などで苦しんだ経験から、身体に優しく、地球にも優しいシャンプーなどを作っているそうです。
今回、Good Design賞を取った歯磨き粉も石油由来原料を使用しない独自の環境にやさしい調合法で製造されている。これが100年ぶりの歯磨き粉イノベーションと言われるところ。
シャンプーもスゴイ。シャンプーの材料自体も自然由来なことはもちろん、ボトルも天然素材。”Tree in the Bottle”シリーズは、土に埋めると木が生えてくる。ボトルにふた粒の種が入っていて、1年かけてボトル本体が自然分解されると、中の種が芽を出し、気に育つという。ボトルを捨てることが植樹になる。
徹底ぶりは商品だけではない。
包装材もすべてグリーン調達基準を満たし、ボトルからキャップまで分解可能な材料。箱には紙、ラベルも環境保護材料を使い、緩衝材はすべてリサイクル品。
驚くのは商品だけで無く、商品を積むパレットも、リサイクルのペットボトルの蓋でできていている。
そして、工場の立地にも拘る。高低差を利用した土地で、工場エリア周辺の平均気温は平地より2度も低い。
もちろん、紙がもったいないので名刺交換もQRコードで。
本当に徹底されている。
ヒトと地球に優しいモノは高くなるのかもしれないが、それを受入れられるような社会になるべきなのだろう。
ここまで徹底するとやっぱり高い。歯磨き粉も95mlで2800円!!
何も知らずにドラッグストアで普通に並んでいたら、そうそう買える値段ではないですね。
「他社製品と比較すると低いものでも3割増、高いものでは20倍の生産コストがかかっている」とのこと。
そりゃそうなるだろうなと思う。
会社設立当初は経営が上手く行かないこともあったそうです。そんなときに助けてくれたのは、ユーザー。特にシャンプーのメイン顧客である美容室の美容師さんたち。彼ら、彼女らがSNSなどを使って、一般に広めてくれたらしい。
当然、普通より高いから、全員は買えない。それでも、買える人は買える。
地球やヒトに優しくない高級ブランド品を買うよりは、地球に優しい歯磨き粉を買うのが当たり前になる社会の方が個人的には良いとも思う。New Luxuryという視点で『社会のWell-being(良い状態)』を目指すべきだ。
もちろん、少々身体に悪くても、めちゃくちゃホワイトニングされる歯磨き粉が好きな人もいるかもしれない。それは個人の選択なので、尊重されても良い。
ただし、山口周さんの言葉を借りれば、我々は「責任ある消費」をする権利も持っている。次の自体に何を残すかを、購入という行為で意図的に選択できる。この「責任ある消費」を行うことで、人間中心だけでは無く、地球中心で優しさに溢れる社会になっていけば良いなぁ~と思いました。
歯磨き粉から思ったよりスケールの大きな話になってしまいましたが、O'rightという会社はそれくらい素晴らしいことをやっている世界でも稀に見る会社かと思い、少しでも知って頂きたく、紹介させて頂きました。
Good Designの受賞コメントが改めて身にしみます。
持続可能な社会について考えるキッカケを与え、より美しい未来へと一歩踏み出すことができるように(葛望平)
では、また来週~〜
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安藤健(@takecando)
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