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偏愛と結び付いた圧倒的当事者意識でWell-beingに向けた研究テーマを探す

テクノロジーを使ってヒトのスキルや感性を引き出し、拡張することでWell-beingに貢献することを目指している「Aug Lab」では、アイデア創出を目的としたワークショップを定期的に行っています。

アイデア出しの段階で特に意識しているのは、以下のWIRED記事でもタイトルとして付けて頂いているように、アイデアでトライしたいことに主体があるのか?、言い換えると、引き出し・拡張することで解きたい問いに超具体的な主語があるのか?ということです。

ただし、この超具体的主語を明確にするというのは、やってみると結構難しいもんです。全く見ず知らずの人に対して、何をすればWell-beingに近づけるのか?本当の意味でそれぞれのヒトを理解しきらない限りは、その問いは解けないと思っています。ちまたでは、デザイン思考など様々なアプローチが提唱されており、ある程度体系的に取り組むことができますが、それでも他人を理解することは、そんなに容易いことではないでしょう。

そんな中でAug Labでは、他人は一旦置いておいて、まず自分のことからしっかり理解できるようになるということを目指しています。自分事化できる問いの設定をできるようになってから、他の人のWell-beingなどについても考えられるようになろうという考え方をしています。

このことを我々は、『圧倒的当事者意識(ATI)』を持てるテーマを設定しようと言っています。もともと「圧倒的当事者意識」という言葉は、リクルートのフィロソフィのような言葉として有名です。意味合いとしては、徹底した自分事化をして思考・行動しなさいということだと思います。自分でどう考え、どう動くのか、そしてその結果は全て自分の責任ですという意味で、違う言い方をすると何が起きても他責にするな、ということではないでしょうか。Aug Labでいう『圧倒的当事者意識(ATI)』はもちろん同じようなニュアンスなのですが、少し違っていて、

心の底から自分が思っていることに向き合う。恥ずかしいくらい、とことん向き合う。ほほ欲求、欲望レベルまで自分を分解していきましょう。

という感じです。はっきり言って、社会課題がどうとか関係ありません。自分のことだけ考えて、自分の欲望を更に満たすために必要なことを考えて、問いを設定する。それが出来ているのが、『圧倒的当事者意識(ATI)』を持てるテーマです。

例えば、コミュニケーションロボットbabypapaは子育てしている親が起案したテーマであったり、遠隔応援デバイスCHEERPHONEはサッカー観戦好きのメンバーが起案したテーマです。もちろん、テーマ起案後は他のメンバーも関わるので、メンバー全員が自分の欲望をベースにしているわけではありませんが、全ての問いの起点は完全にメンバーの欲求・欲望です。

このような『圧倒的当事者意識(ATI)』を持てるテーマ探索をするのに、有効なのが「偏愛マップ」です。偏愛マップとは、要は自分の好きなことを、マニアレベルで好きなことを出来る限り個別具体名を出しながら書き出したものです。もともとは日本語学?などでテレビでも引っ張りだこな齋藤 孝先生が提案されている人間関係などを良くするためのツールです。確かに相手が何が好きなのかが分かったり、マニアックなレベルで共通の好きなことが見つかれば、コミュニケーションは円滑化されるでしょう。

ただし、ドミニク・チェンさんなどの本でも紹介されているように、この「偏愛マップ」はコミュニケーションのためだけではなく、Well-beingを考える上で非常に有効と思っています。

自分の好きを偏愛(ほぼ癖)というレベルで分析すると、自分は何を欲しているのか、どんな欲望を持っているのか、どういうときにWell-beingだと感じるのか、ということの理解に役立ちます。そして、ワークショップの中で、他人と見比べてみることで、ある意味客観的に自分の偏愛っぷりがわかります。自分では普通だと思っていた興味の対象も、多くの他の人から「え~~そんなところに興味あるの???」と言われることもあります。逆にそんなときはユニークな『圧倒的当事者意識(ATI)』を持てるテーマのチャンスだと思った方が良いです。

もちろん、自分の癖を公開することになるので、少し恥ずかしいこともあるのですが、その恥ずかしさをお互いに忘れて取り組むことが非常に大事です。そういう空気感をお互いに作ることが大事ですね。
(ただし、十分にハラスメントには気を付けましょう!)

是非、偏愛MAPから始まる『圧倒的当事者意識(ATI)』を持てるテーマ探索をやってみてください。良いテーマがでるかは保証できませんが、少なくとも面白いワークショップにはなるはずです。

偏愛マップの作り方などは以下などを参考に。

また来週~。

安藤健@takecando

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安藤 健/ロボット開発者
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