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<妻の目線>古ポジ建築再構築プロジェクト#04_古民家に暮らすことへの憧れ
こちらのサイトは、一級建築士事務所を営む夫と、その妻が、それぞれの目線から購入した古民家をめぐる物語を紡いでいます。かつて一世を風靡した某テレビ番組のビフォーアフター的な分かりやすい経過と結果、匠のしごとも良いですが、それ以上に古民家を手に入れてしまった夫婦の素朴な驚きと日常をお伝えしたいと思っています。
古建築をポジティブに!
ドラマで描かれる古民家暮らし
今回は、一級建築士の妻になったばっかりに、古建築を再構築することになった妻の目線からの投稿です。
夫と結婚を意識するようになった頃には、すでに夫は古建築に魅せられていました。私から見た夫は、風雅な人という認識でした。古道具屋で古いフィルムカメラを買ってきて、クセの強い不条理なカメラを楽しんだり、「一杯の〜コーヒーから〜恋の花咲くこともある〜」などと口ずさみながら、淹れるたびに味が変化し正解を引き当てることができないサイフォンでゆっくりゆっくりコーヒーを入れるような人といえばイメージがつくでしょうか。
奇を衒っているわけではなく、夫は10代からなぜかナチュラルに美意識が成熟していたし、確立していた。私はそれがとても羨ましかったのです。多くの同級生が就職し、サラリーマンになって身を固めていく中で、夫の夢は、「一国一城の主人になる。」「社長になる。」
そんな夫とずっと過ごすうち、夫以上に古民家に暮らすことに憧れるようになったのです。私のイメージする将来像は、「浴衣を着て夏の縁側で子どもたちと花火を楽しむ」と言う暮らし。憧れというより、幼少期に経験したことを再現したい気持ちなのかもしれない。ノスタルジーなのかも?いつの間にか夫よりも積極的に、空き家情報を収集したり、情報をキャッチすると夫を唆す、と言う10年を過ごしていました。
けど、どの家も夫には響かず、結局夫が自分で探してきて、あっという間に決めてしまったのです!
その家は、グーグルストリートビューで見る限り、家には見えませんでした。
「森」!!
にしか見えない!
まじか、と思いましたし、怯みました。自分で言うのもなんですが、私も自営業を営む一国一城の主人。結構キモは据わっています。それでも怯みました。
「一体、修繕費にいくらかかるんだろう?」
「お化けとか出ないでしょうね」
家計の財布を握るのも支えるのも私なのですから、そりゃ即答できません。
それでも、私を揺り動かす古民家への憧れ。私を一層、憧れへと導いたドラマ「最後から二番目の恋」で登場する40代のドラマ制作会社の女性と鎌倉の古民家。
「縁側でゆったり外を見ながら、ええわぁ〜って言いたい」
夫が探し当てた古民家には、素敵な縁側があったのです!それが私の決め手でした。また、パートナーが一級建築士なので、古民家を修繕するにしても安心だと言うところも、やっぱり大きかったです。
さて、幾つもの難しさを抱えたこの古ポジ建築。条件や課題があるからこそ、楽しいと言うのは、二人ともデザイン業を営むゆえのどうしようもないサガなのかもしれないですね。
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Y Takebayashi