Fラン将棋部昇級日誌 その3
3年生
3年生になって部長になりました。部長として初めての仕事である入学式での新入生勧誘、この時はどーせ去年と同じで入部希望者少ないやろーと思ってましたが入学式に行ってみるとかなりの人数ブースに来てくれて驚きました。
藤井君効果なのか、囲碁将棋の盤駒石を持っていたからなのかはわかりませんがとにかく人が来てくれてよかったです。
ここである新入生が現れました。E君です。
とりあえず部活の説明をしながら対局してみるとまー強い。
聞いてみるとテーブルマークこども大会地区準優勝、高校でも県2位とそりゃ強いわという実績、なんでこんなやつがFランに来るねんと思いましたが来てくれたのはありがたい。
E君がいたから昇級という目標が自分の中で確固たるものになりました。
自分が部のことに奔走できたのもE君が居たからです。ほんとE君様様です。
他にも色々な新入生が入ってくれました。ソフト大好きなS君、ウォーズ2段のO君など将棋勢は6人入部しました。囲碁勢も1人入り、計7人、上々すぎる人数でした。
そんなこんなでじゃあ昇級するにはどうすんの?と考えました。
まとめたのが以下の3つです。
1.部室に誰かいる状況にする
2.部室で将棋を指しても何も思わない環境にする
3. 自分達の強みを活かす
この3つです。
1はその2でも書きましたが、まず部室に誰かいる→ほかの人も来るようになる→楽しいからまた来るという連鎖反応をおこさせなければなりません。
これはうまくいきました。1年生はなにも言わなくても昼休憩の時間に来たりととりあえず暇だから部室に行くという状況を作っていました。
上級生は麻雀を導入することで麻雀しに部室に来させるということが出来ました。
これで部室が閉まる22時までほぼ毎日誰かいるという状況になりました。
2は今まで感じてたのはなんで将棋指してんのバカじゃねという空気があったのでそれを払拭させました。
具体的には詰将棋を出したり、ある局面をつっつきあったりしました。
個人トレーニングは好きじゃなくてもでもみんなでワイワイやるのが嫌いな人はあんまりいないと思うでこれは効きました。
3は強みが何かと気付くということです。
自分達の部室があったり、部費がウン十万あったり、部費で本の購入費や大会の参加費、交通費までも出るのは他大学の方と話すまで恵まれているとは知りませんでした。
他にも囲碁将棋両方で毎週講師の先生が来て教えてくれたり、囲碁に関しては月1でプロの指導碁があったりとはっきりいって環境に関しては申し分ないと思います。
まずやったのは部費で大盤を買いました。大盤に詰将棋を載せておけば誰かが解き始めるからですね。他には大きい本棚を買いました。
本棚に漫画本を置いておけば誰か読むやろーという寸法です。自分が置いといたガルパンリボンの騎士と皇国の守護者はあまり読んでくれませんでした、なんでや。
こんなことをしているうちに春季団体戦が始まりました。
レギュラーメンバーはこんな感じです。
E君 ウォーズ4段、終盤型、序盤で駄目でもなんか逆転してる1年生エース
H先輩 ウォーズ2段強、就活で棋力が下がっているが地力がある
私 ウォーズ2段 完全な序盤型というか中終盤ダメダメマン
T君 ウォーズ初段強 四間飛車には棒銀マン、なんか玉が上に行く
O君 ウォーズ2段弱 序盤が独特、玉が薄いのがお好き
補欠 S君 ウォーズ2段弱 ソフト大好き、自称終盤のファンタジスタ
K ウォーズ1級 生粋の四間党、相振りは嫌い
まあ他にもいますが育成オーダーでもない限り出るのはこの7人のだれかですね。うちが所属しているC2級は5人制なので調子を見ながらだれか2人を抜くという感じですね。
結果は指し分けで前と変わらず、思ったよりも1年生が勝てませんでした。
大学将棋は不思議なプレッシャーがあるので1年生がなかなか活躍できないんですよね。仕方ないです。
それでも前と違って1-4が減り、2-3が増えました。悪く言えば決定力がないという事ですがいい風にとらえれば手も足も出ないチームがいなくなったとも言えます。
後は他大学と交流したり、地元の将棋道場にみんなで行ったりしている内に夏休みになりました。夏休みにしたいことといえばそう合宿!
合宿は実は2年の春休みに行きましたがあまり将棋しないしイマイチだったので今度は他大学さんとやればいいんじゃね?と思っていたところSNSで某大学さんが合同合宿を企画しているのを発見。応募しました。
この合宿は良かったです。自分たちの大学からは4人参加しましたが元奨の方も参加されるなどレベルが高く勉強になりました。今でも参加された大学の方と話す機会がありますし、交友関係も広がりました。
そして秋季団体戦が始まりました。
初日は全勝しました。毎回うちはスロスターターで初日にいつも初日で勝てなかったのでこれはワンチャン昇級あるでーとか話してました。
2日目はC1から落ちてきた2校と当たりました。C2はC1から落ちてきた大学(昇級候補)、万年C2、あんまりやる気がないところ大体3つに分けられます。うちは万年C2に当たり、順位の下の大学には勝てるけど上には勝てないという典型的な格下キラーです。うちは6位で5、4、3位は初日で倒したので両方勝てれば昇級ほぼ確定、どっちかに勝てば自力昇級の目あり、両方負ければ終わりと思ってました。
1戦目はS大、戦型は自分の先手三間対右四間でした。
棋譜がないのでうろ覚えですがこんな感じの局面で82の角打ちをうっかりされてこちらが優勢になり、寄せで少しもたつきましたが何とか勝てました。
チームはきっちりエースが勝ってくれましたが他が負けて2-3負け。
自分が勝ってチームが負けるとなんでだよと思いますが逆も死ぬほどあることなのでしょうがないですね。
2戦目はR大、先手が自分で戦型は先手三間対右玉です。
当時の自分は図から65歩を突いて開戦するという発想がなかったので見送り、これよりも悪い条件になってから仕掛けて案の定劣勢になってそのまま負け。団体戦で指す将棋ではなかったです。
チームも2-3で負け、昇級はこの時点では他力となりました。
ぶっちゃけ昇級の目がないと思い、次のS大戦では育成オーダーで4-1勝ち。これが後になって響きました。
3日目は最初のほほんとしていました。昇級の目もないと思っていたので省がないですね。
1戦目を3-2で終えたところで衝撃が走りました。なんと昇級候補のS大が負けたのです。正直S大R大共に後はまあ勝つだろと思っていたのでだいぶ驚きました。ここで状況を整理してみます。
前回順位 戦績 個人の勝ち数
1位 S大 5勝1敗 20
2位 R大 7勝0敗 27
6位 K工(母校) 5勝2敗 21
重要な要素は順に戦績(チームの勝ち数)>個人の勝ち数>前回順位という風になっています。戦績が同じだと個人の勝ち数それも同じだと前回順位という風になっています。
一見巻き返し不可能に見えますが最終局にS大R大の直接対決が残っています。そこでS大が負ければ戦績は同じになるのでここからはただ勝つだけではなく出来るだけ大きい勝ちを目指すことになります。
2戦目の棋譜がないので大まかにですが説明します。
最終盤で自玉に王手をかけられ逃げる方向が2通りありました。引くか上がるかです。
引けば詰みなしで勝ち、上がれば詰むという状況で自分は上がってしまいました。読んでる最中はどっちも負けに見えましたが感想戦で指摘され青ざめました。
感想戦の途中でいてもたってもいられず近くにいた後輩に状況を聞くと3-2、戦犯になったと思いさらに青ざめたのを覚えています。
S大R大の結果もまとめるとこうなりました。
前回順位 戦績 個人の勝ち数
1位 S大 5勝2敗 22
2位 R大 7勝0敗 27 (昇級確定)
6位 K工(母校) 6勝2敗 24 (残り対局なし)
S大がR大に勝てばS大昇級、負ければうちが昇級と分かりやすいものです。
ただ自分たちはもう対局がないのでS大負けろと祈りながら見てるしかないです。
ただR大は負けても昇級確定であまりやる気はないだろうと思ってました。
あと1つか2つ個人で勝っていれば...と悔やみましたが結果は変えられません。戦犯で無力な自分を惨めに思いながら観戦していました。
結果はS大の3-2勝ち、S大とR大がC1へと上がっていきました。
帰りの駅までの道で涙が溢れてしまいました。後1つ、あそこで玉を引いていれば…と後悔が絶えませんでした。
来年は昇級しよう、春に昇級して4年最後にC1で指そうそう心に誓いました。