『サンセット・サンライズ』はこの順番で!
タイトルは、『サンライズ・サンセット』じゃないという意味がすごくよくわかった。
日は沈むけど、また昇る!
クドカン作品は、コメディで入りやすくしておいて、その時代ならではの問題提起や、誰もが心の中で思ってることの代弁を登場人物にさせているから、ただ「おもしろかった!」では終わらせない。
違和感などのモヤモヤを切り取るのが上手で、同じこの時代を生きてきて、思うことは一般庶民も、大物脚本家でも同じなんだな、と一人で観てもいろいろと分かち合った気になってしまう。
手の届かない雲の上の存在のはずが、作品を通して距離感が近くなる。それがクドカンマジック。
今回は、主人公のセリフの中で「震災なんてどうでもいい!」と叫ぶところは、よく言った!と胸がすく思いだった。
もちろん当事者を目の前には、言っちゃいけないことだから、映画というフィクションの力だからこそ。
当事私は、リラクゼーションの仕事をしていたので、『自粛』と称して短縮営業や、お客様が減っていったことに『仕方ない』と受け入れていた。
コロナ禍でも不要不急の外出は控えるようにとか、エンタメが不要だと言われていたことに、311の前例があった分、受け入れるのが早かった。
でも、こうして過ぎてみると、アレはなんだったんだろう?と思ってしまう。
決して「どうでもいい」訳ではないものの、過ぎてしまったことも、これからまた起きるかもしれない不安は、「どうでもいい」ことにしてしまっていいかも。
個人の幸せを考えて、辿り着いた家族の形が秀逸だった。
結婚に落ち着くハッピーエンドじゃ、ありきたり過ぎる。
やはり未亡人は、そんなに次から次へと切り替えができる訳ではなく、だからってパートナーを諦める必要はないのだ。
「どうでもいい」と言いながらも、ちゃんと話し合って辿り着いた関係性のようで、お互いの幸せに寄り添ったラストが素敵だった。
屈託なく、人たらしの菅田将暉の役も良くて、彼の幸せを見届けたという多幸感でいっぱいだった。
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