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関西人が聞くとテンションの下がる関東人の口癖

 東京の人は「そうなんだぁ」と、よく口にする。関西弁でいえば、「そうなんや」となる。「そうなんや」の疑問形が「そうなん?」で、東京弁でいえば「そうなの?」。この「そうなん?」は、関東方面が好きな関西弁の1つだともいわれている。しかし関西人が耳にしてテンションの下がる言葉が、冒頭の「そうなんだぁ」である。
 たとえば、関西の男性が東京の女性と会話をしているとする。男性は女性を楽しませようと思い、あれやこれやと話題を提供する。それに対し、「そうなの?」と返されると「この子、俺の話に興味あるな」と捉えるが、「そうなんだぁ」と軽くあしらわれた時は、「何やねん、こいつ」と憤りさえ覚えてしまうのだ。
 ただし、これは関西人同士でも同じ。会話の途中で「そうなんや」と冷たくいわれると、話はフェイドアウトしてしまう。しかし、「そうなんや」にはニュアンスで違いがあり、「そうなんや、それで」と話の続きを求められたり、「そうなんや!」と言葉尻を強調されたりすれば、「うん、ほんでな」と次の話題につながる。
「そうなん?」に関しても、語尾のアクセントが強ければ興味あり、弱ければ興味なし。「そうなん? それで、それで」と前のめりになられるとうれしくて、「そうなん?」だけでも、上目づかいで小首を傾げて言われるとテンションはマックスになる。
 ただ「そうなん?」だけを口にするのは、ほぼ女性。男性は納得で「そうなんや」、疑問の場合は「それって、そうなん?」「ええ? そうなん?」となり「そうなん?」を単独で使うことは少ない。
 ただし、「そうなんだぁ」といわれて気を悪くしないパターンもある。男性の場合、キャバクラやガールズバーなどで「お客さん、関西の人?」「うん、大阪」「へえ、そうなんだぁ。東京へはお仕事?」という風に、会話を成立させてくれれば問題はない。それどころか、あか抜けた言葉づかいにゾクゾクしたりもする。女性の場合も話さえ続けてくれるのであれば、東京の人の「そうなんだ」を毛嫌いはしない。それどころか、「大阪では耳にでけへんシャレた言葉やわ」と好感を抱いたりもする。
 注意が必要なのは、関東人が聞く関西人の「そうなんや」である。東京の「そうなんだ」に慣れていて話を続けようとしても、相手の意図は会話の中断であることがある。それが分からずに、同じ話題を押し進めようとすれば、「もう、その話はええっちゅうねん」と内心で思われてしまう。
 判断の基準は、やはり語尾のアクセントと態度や表情。さらに「ふ~ん、そうなんや」と「ふ~ん」がついたときは、さっさと話題を変えた方が無難である。

「関西人VS関東人 ここまで違う言葉の常識」(河出書房新社)より
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