博物館の読み方~博物館オタクは博物館でどう過ごしているのか~【博物館オタ活日記#6】
国内約100の博物館を訪れた大学生の博物館オタクの視点から、博物館について綴る『博物館オタ活日記』。今回は、夏休みに博物館を訪れるという方もいると思うので、「博物館の読み方」をテーマに博物館オタクがどのように博物館を見ているのかを伝えていこうと思います!
博物館はすごく面白い場所なんです。私は、某千葉県にあるネズミさんのテーマパークよりも博物館に行くほうがワクワクします。
博物館にはたくさんのワクワクが詰まっているのですが、多くの人がそのワクワクに気づけていないのかなと思います。これを読んでいる方にも、博物館を楽しむことができない人もいるのではないでしょうか。そんな方々に向けて、博物館オタクがどのように博物館を楽しんでいるのか、どうワクワクを見つけるのかそのコツをお伝えします。
博物館でワクワクするために意識していること
まずは、私が博物館でワクワクするためにどのようなことを意識しているのかをご紹介します。
1. すべて理解しようとしないこと
博物館には膨大な情報が集まっています。初めて訪れる博物館で全ての情報を処理し、理解するのは至難の業です(もしすべてを理解できるという猛者がいればぜひあってみたいものです)。そこで、私が意識していることは、「体験」と「選択と集中」です。
まず、「体験」についてお話します。そもそもの考えとして、私は博物館で何か新しい知識をインプットしようとは考えていません。大事にしているのは目の前にある3次元の展示物から得られる体験です。例えば、本やネットで見たものが実在しているのか、それが想像よりもサイズや色や形はどう違うかなど知識と感覚的体験をマッチさせます。もしくは、初めて知る展示だとしたら、これは何なのかどんな要素があるのだろうみたいな感覚を用いた体験を大事にしています。なぜなら、知識は本やインターネットで調べれば無限にアクセスできますが、実際のモノに触れる体験はその場でしか出来ないのですから。
また、「選択と集中」も大切です。博物館は自然史や歴史など大まかなジャンルはあるにせよ様々な内容が扱われています。すべてを見ていくと疲れてしまいますし、何より体験に必要なセンサーが鈍ります。なので、興味が湧いた展示だけじっくり見るというのもおすすめです。私は、ほとんど全ての展示に目を通しますが、じっくり見るのは総展示の1・2割くらいです。もっとじっくり見たいと思ったら複数回見に行きます。
2. 純粋な好奇心を大切にする
博物館でワクワクするためには、「なぜ?」「どうして?」という純粋な好奇心を持つことが大切です。博物館にはたくさんの展示物があり、それぞれが好奇心を刺激してくれます。大人になると忘れがちなその好奇心を、もう一度呼び戻してみましょう。好奇心に素直に向き合うことで、ワクワクする世界が広がります。
もし、好奇心がわかなかったら、「そうなんだ!」という気づきに着目してみましょう。その「そうなんだ!」という気づきから連想ゲームをしてみましょう。そうすると、自然と好奇心が生まれてくるかも⁉️
博物館見学の型
さて、博物館でワクワクするためのマインドセットをインストールしたら、実際に博物館へ行ってみましょう。一例として、私が博物館を訪れる際の❝型❞のようなものをお伝えします。
訪問前
訪問前の準備は意外と大事です。そこで、3つのポイントについて私が実践していることをお伝えします。
1.行き先を決める
訪れる博物館を決める際は、自分の興味を優先しましょう。どのように調べればいいかというと簡単で、「興味のあることのキーワード+博物館」と検索するだけ。
とはいっても、興味があることがすぐに思い浮かばない人もいるかと思います。そこで、おすすめのサイトを2つ紹介します。
1つ目は、文化庁の「博物館総合サイト」です。ここでは、地域別に検索することができます。
2つ目は、丹青社グループが運営する「アイエム(internet museum)」のサイトです。ここでは、博物館だけでなく、特別展等の展覧会ごとにジャンル検索なども出来ます。
以上のようなサイトなどを使って訪れる博物館を選定してみましょう。
2.下調べ
訪れる博物館が決まったら、その博物館についての下調べをしましょう。開館時間やアクセス方法だけでなく、どのような展示があるかや、博物館について多少の理解をしておくと当日の楽しみが増えます。博物館オタクの私は、特別展などでは、ぜひそのジャンルについて調べて、監修者の著書などにも目を通しておきますが、それは玄人の楽しみ方なので、博物館に慣れてきたらやってみてもいいかも知れません。
3.持ち物・服装
博物館では、たくさん歩くため、歩きやすい服装で荷物は少なめにするのがいいでしょう。
最近は、スマホで多くの情報を得ることができたり、メモを取れるのでスマホやタブレットがあれば十分に楽しめます。ですが、展示室内での電子機器の使用が制限される場合もあるので、その時のために、メモ帳と鉛筆を持っていくことをおすすめします。なお、鉛筆以外の筆記用具だと、インクなどで展示物を汚したり傷つける可能性があるので禁止されている場合があります。
展示を見る
さあ、準備万端!展示を見に行きましょう。展示を見る際に行う5つのポイントを紹介します。
1.順路に沿って見よう
展示は順路に沿って見ていきましょう。
というのも、本記事のタイトルを「博物館を読む」にした通り、博物館の展示はまるで本のように章立てされストーリーに合わせてモノが展示されています。展示をつくる学芸員の方たちはその点を意識して作っているので、順路に沿って見ると体験価値がアップします。特に特別展などでは、裏テーマでメッセージが含まれている場合もあるので、ぜひ順路に沿って展示を見てみましょう。
2.写真を撮ろう
写真撮影が許可されている展示ではぜひ写真を撮りましょう!詳しくは後述するのですが、訪問後の振り返りの際に、写真があることで思い出しやすくなります。
なお、博物館によっては撮影禁止だったりエリアによって違う場合もあるので、スタッフに確認すると良いと思います。また、フラッシュやSNSへの投稿を禁止しているところもあるので要注意です。ルールとマナーを守ってぜひ写真を使った体験の拡大を目指してみてください。
3.知ろうとしなくて大丈夫
博物館でワクワクするために意識していることの中でも触れましたが、無理に何かを得ようとしなくて大丈夫です。眼の前の展示から得られる体験を大切にし、自分なりの博物館時間を楽しんでください。知識のインプットは二の次です。
4.「なぜ?」「どうして?」をメモしよう
展示物を見ているときに湧いた「なぜ?」「どうして?」をメモしておきましょう。博物館に「なぜ?」「どうして?」は山のように眠っています。一つ一つその場でスマホで調べながらいくといくら時間があっても足りません。博物館は体験する場所です。体験を優先して、あとから調べられるように「なぜ?」「どうして?」をメモしておきましょう。
5.パンフレットや展示図録を入手しよう
パンフレットや展示図録は、訪問後の振り返りに便利です。特に図録は展示物の詳細な説明や背景情報が含まれている場合も多いので、購入を強くおすすめします。図録やパンフレットは訪問記録やコレクションとしても楽しめるので、博物館に訪れるたびに集めてみるのもいいのではないでしょうか。
訪問後
訪問後にはぜひ体験を振り返ることをしてみてください。私は、家に帰って振り返っているときも博物館にいるときと同じくらいワクワクします。訪問後の過ごし方の3つのポイントを紹介します
1.振り返り&インプット
博物館から帰ったら、撮った写真やメモ、パンフレットや図録を見て博物館の体験を整理しましょう。私は、博物館での体験を振り返るために文章を書くようにしていて、それをもとにnoteに博物館オタ活日記を投稿しています。ぜひ振り返って自分の体験を改めて見つめ直してみてください。
2.気になったところを調べる
博物館でメモした「なぜ?」「どうして?」をインターネットや書籍で調べてみましょう。可能なら、周辺知識もこのタイミングで調べてみましょう。知識が網の目のように積み重なるとより気づきの感度がアップします。
博物館は体験の場ですが、家に帰ったらインプットをすると次に博物館へ行くときによりたのしめます。
3.展示図録を読もう
展示図録には展示物に関する詳細な説明が書かれています。展示図録を読むことで展示に対する理解が深まります。また、関連した内容のコラムなども書かれていたりするため、知識の幅を広げるのに役立ちます。
プラスアルファ
もし本格的に博物館にハマったら、この2つのプラスアルファのアクションをしてみるとより面白いかも知れません。
1.もう一度足を運んでみる
ぜひ、同じ博物館に何度も足を運んでみましょう。同じ展示でも、いく日が違うと新しい気づきがあったりします。私は、国立科学博物館に数十回行っていますが、未だに気づきがあります。
特別展などは、会期が決まっているため、何度も足を運ぶためにできるだけ早いうちに訪問するのがおすすめです。
2.博物館関連のコミュニティに参加する
博物館に関するコミュニティに参加してみると博物館での楽しみが一層広がります。SNSで博物館のアカウントをフォローしたり、他の博物館好きとつながってみると、博物館に関する情報を沢山手に入れることができます。また、博物館が開催している講演会などに参加することもおすすめです。
まとめ
色々博物館でワクワクする方法を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。ぜひ一度このプロセスを試してもらうといいのかなと思います。私も楽しめる方法をアップデートしながら博物館ライフを楽しみたいと思っています。
博物館での体験が、皆さんの日常が少しでも豊かになるきっかけになることを願っています。どうぞ、皆さんも自分なりの博物館の楽しみ方を見つけてください。
それでは、皆さんよい博物館ライフを!