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定時先生!本編 第3章 効率編

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#教師のバトン  がテーマの小説。本編の効率編です。
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#ブラック

定時先生!第40話 放送室

定時先生!第40話 放送室

本編目次

第1話 ブラックなんでしょ

『ー放送は以上です。残りの問いに取り組みなさい』

「…」
「CD止めないと」
「あっ、停止っと」

 追憶に耽っていた遠藤は、危うく他の問題まで流すところを、中島に助けられた。
 埃を被った機材、色褪せた注意事項の貼り紙、乱雑に置かれたCDケース、カーペットに染み付いた独特の匂い。ずっしりと重たそうな暗幕が開け放され、普段は暗く陰鬱な放送

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定時先生!第39話 負のリレー

定時先生!第39話 負のリレー

本編目次

第1話 ブラックなんでしょ

「彼、大丈夫かな」

 背後からの唐突な声に、遠藤は驚いて振り返った。西田が眉間を狭め、北沢が消えた街角を眺めている。
 北沢を気に掛け、遠藤に遅れて様子を見に来た西田は、職員玄関で外履きに足をねじ込んでいるときに、北沢の怒声を聞いていた。

「わかりません…」

 そうとしか言いようがない。
 北沢は、非正規職員の講師として遠藤より1年早

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定時先生!第38話 初任なんだから

定時先生!第38話 初任なんだから

本編目次

第1話 ブラックなんでしょ

 遠藤は口を開けたまま、北沢を見つめていた。数拍の間の後、北沢がいつもと変わらぬ明るい調子で続けた。

「ごめん、急に変なこと言って。効率的にやるのは間違いなく良いことだよな。俺、今日も早めに帰ろうかな。と言っても定時1時間ぐらい過ぎてるけど」

 思考停止状態の遠藤だったが、素早くアルコールを手指にすりこむ北沢の手元を眺めながら、徐々に我に返っていく。何

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定時先生!第37話 辞めてぇわ

定時先生!第37話 辞めてぇわ

本編目次  

第1話 ブラックなんでしょ

17時30分 職員男子トイレ 
「着席指導ひとつとってみても、西田先生、市川先生、中島先生それぞれの切り口からのアプローチがあるんだよね。多分、先輩たちも皆、迷いながら自分に適した方法を獲得していったと思うんだ。俺も最近、どうチャイム着席指導していいか迷ってたんだけど、少し勇気貰った気がしたよ。北沢くんさ、前に中島先生を真似する、って言

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定時先生!第36話 隣のレーン

定時先生!第36話 隣のレーン

本編目次 

第1話ブラックなんでしょ

「チャイムと同時に制限時間1分で漢字小テスト。もちろん成績に入れる。これなら、チャイム前にはほとんど全員着席して勉強してるよ。導入してからはチャイム着席指導する必要がなくなったね」

ー指導しなくて済むように工夫するのが一番重要な指導力だよ。生徒指導でも何でもそうだけど、何か問題が生じたとき、あるいは予見されるときは、生徒の前に、システムに原因を求めること

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