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[note50]2023年 大学入学共通テスト

今年も共通テストの分析から

センター試験、大学共通テストいずれも初日の1時間目が公民であるから、難易度や傾向、自分の授業との関係性など気になることが沢山ある。まずは解いてみないと始まらないので、恒例のように問題が公表された時点で解答してみる。解いた感想として、率直に感じるのが以前から指摘されていた通り、パターン学習(過去問演習による対応)だけでは厳しくなっているということ。現在の学習の方針が思考力や判断力を重視すると共に読解力や情報の解析力を期待していることからも、共通テストにはそれが反映される。
面倒な問題だな…というものもいくつかあった。しかし、それはいわゆる細かな知識や年号などを問うものではなく、その事項の原理原則や基本的な知識を使って解答する問題が大半であった。大問4、解答数30は昨年と同じ。センター試験時代が大体解答数が34~36だったから、かなり減った印象を受ける。その分、複数資料の読み取り、計算(計算自体の難しさではなく、きちんと設問に対応して計算しないとミスをする)、文脈からの読解など問題はバラエティに富んでいる考えさせる問題が多いなというところだ。各予備校の講評では駿台ベネッセ、河合塾が難化(平均点予測50%切り)、東進が例年並み(平均点はダウンするが50%台)となっていた。自分の感覚としては、前者かなあ…やはり平均点が50%を切ってしまうと「厳しいなあ…」と思わざるを得ない

問題としての質は良いと感じた

今回は分類しながら解いてみた。例えば、「知識のみ」、「知識をベースに読み取る」、「単純な読解」、「計算(ただし、複雑な知識は不要)」、「時事要素あり」といった感じである。第3問の国際政治分野を除き、知識のみで対応できる問題が少ない(第3問だけ今年は少し雰囲気が違った気がする)。カーボンニュートラルやパリ協定の詳細など細かな事項を知らないと解答できないものもあったが、多くは基礎用語をいかに理解しているかが勝負になるものであるように感じた。即ち、一問一答式に言葉を思い出しても、解答することは難しい。それが何を意味し、何のために存在する概念であるかなど背後関係や因果関係、定義を意識して学習していないと、解答が難しい問題になる。センター試験時代の後半、政治経済はかなり同一内容の問題が散見されるようになった。それ故に過去問を解いていれば、同じような問題に出会うことも多かった。しかし、共通テストの政経は知識をベースによく練られていると思う。色々な意見はあると思うが、質の良い問題ではないだろうか

普段から統計やデータに接する

実質GDP成長率、一人当たりの実質GDP、一般政府総債務残高、輸出統計、日本の発電電力量と内訳、国際収支表、公務員と予算定員の関係表、為替相場の推移、リサイクル率、日本国債の保有者構成、支出国民所得、対外債務残高、対外債務残高の対輸出額比、対外債務残高の対GNI比…今回の共通テストで登場した統計資料である。基礎的なものもあるが、生徒からすれば、「こんなの知らない!」と感じるものもあっただろう。恥ずかしながら自分にも初めて見た資料はあった。しかし、問題文や設問文などを慎重に見れば細かな統計知識自体が問われている訳ではないことに気付く初見の統計資料を目の前にして、パニックにならなければ、ある程度は対応できる問題と言える。もちろん、そこには基礎的な知識は必要になるが、冷静に対応することが肝心になる。

共通テストにどう対応するか?

正直な話、これまでの授業のやり方は変える必要があると感じている。重要なことは細かい事項をどれだけ知っているかよりも、教科書レベルの知識をどれだけ理解できているかが主眼となるためだ。これは共通テストになって一層顕著な傾向であるように思う。教科書に書かれている以上の内容も漏れなく授業プリントに反映させようとすると、それを咀嚼するところまで至らない。改めて、何を教えて、何をカットするか、授業内容の取捨選択を検討しなければならないな…と感じている。[note]でも、何度か書いているがベースとなる基本知識はしっかり伝えつつ、生徒に考えさせる仕組みを授業内に作ることが課題になる。前述した通り、これまでは過去問演習が効果的であったが、現行の試験において、それだけでは対応は難しい。とりあえず、夜も遅いので今日は終わりにして、明日から、改めて授業のデザイン、在り方について考えたいと思う。

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