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[note57]音声×スライド×問い

高3の授業に対する課題認識

昨年も同じような内容の記事を書いた気がするが、相変わらず、授業開始の直前まで授業構成に悩む。この授業は理系の国公立志望者で構成されるので、当然ながら大学入学共通テストを念頭に置いた授業となる。地歴公民の選択は地理か倫理政経が一般的だが、なかなか地歴公民に時間を割くことができないのが現状だ。しかし、大学入学共通テストになり、かつてのようなパターン学習が効果を発揮しにくくなっていることが指摘される。つまり、過去問を一定程度取り組めば、同傾向の問題に出会うことが多く、対策として有効だった。だが、ここ2年の問題を見れば分かる通り、単に用語を認識しているだけでは、解答はままならず、それを如何に使うことができるかが鍵になっている。そのためには、教科書レベルの内容を’理解’し、自分の言葉に落とし込める状態を作る、すなわちアウトプットの時間をこれまで以上に生み出すことが必要となる。

高校3年[選択]政治経済での反転学習

そこで、以前、投稿したように「予習」することで授業内でのアウトプットの時間を創出する、いわゆる反転学習(Flipped classroom)を軸とした授業を行うこととした。ただし、予習に時間がかかりすぎては、次第に取り組みが疎かになり、反転は機能しなくなる。どこまで予習はもとめることができるのか?ここが最初の課題だった。授業動画を見て、内容を理解するというのは一般的な方法であるが、これも以前、投稿した通り、今回は音声を利用することにした。Stand_fmでマックス20分の内容解説を配信し、それを聴いて授業に臨むのが基本線となっている。ただ、漠然と音声を聴くだけでは、何も残らない可能性もあるし、意図を感じない活動は廃れる可能性が高い。
やはり、何らかの課題を踏まえて、配信音声を聞いて欲しい。

どこまで予習で求めるか?

反転学習は経験のない領域であるが、生徒が予習をしなくなった時点で成立しなくなることは自明である。そこで、いくつかのパターンを考えながら、予習の負担感を想定してみた。
①授業スライド(プリント)を見ながら、音声配信を聴くだけ
➡ただの聞き流しで、聴くかの目的が不明確になるし、動機が弱くなる
②授業スライドを見ながら、音声配信を聴く+課題に取り組む
➡理想的だが、予習時間の目安を20分と想定すると、負担感が強いし、途中
 で機能しなくなる可能性を感じる
③事前に与えた問いをチェック➡授業スライドを見ながら音声配信を聴く
(授業内で、その問いに取り組んでもらうことを予告しておく)
①~③を考えた時、一先ず③でスタートして、生徒の負担感を把握することにした。②であれば、授業内でグループワークやペアワーク、より深い問いへの取り組みに時間を割くことができる。この辺りは今後、調整をしていこうと考えている。

「問い」の設定

生徒に配布するアウトプットプリントには6つの問いを設定している。それを頭に入れて音声を聴く形にしている。最初に問われることを把握することで音声を聴き流すのでなく、目的をもって聴くことができると考えた。最初は音声を聴いて、分からない点や「問い」を作ってくるといった活動を想定していたが、分からないことを、言葉で表現することは思いのほか難しい。自分なりの「問い」を作ることはなおさら、一定の練習が必要になる。それなくして、問い作りをしようとすると、スライドや教科書の内容に疑問詞をつけただけといった形になりやすい。本来、「問い」は生徒の中が創り出すことが理想と考えているが、まずは教師が問いを与え、それに自分の言葉で答える形を取ることにした。

問いに答える➡3人でチェックする

本来、反転学習では、学校でしかできないことに取り組野が本筋と思われるが、先に述べた通り、予習の負担感と継続性を考えて、問いに答える時間を授業内に設定している。その際、自分の解答に対して、どの程度自信があるのか、1(全く自信なし)~5(自信あり)の5段階で自己評価させるようにした。これにより、自分の理解度の把握や躓きに気付きやすくなる。
授業では3人を1チームとして、その中で問いの解決を目指す。このチームは週ごとに変えるようにしている。基本は6つの問いに対して、1人2問の分担制で説明する形にしているが、実際には流動的で最終的には3人で6問の問いに対する解答をしっかり創り出すことができれば良いと思っている。アウトプットプリントは問いに対する解答スペースが1stと2ndに分かれていて、担当者の説明やチームで導き出した答えを2ndに書くことで、比較したり、修正したことを残すことができるようにしている。

自分自身の問い

アウトプットプリントには教師からの6つの問い以外に、自分の問い、素朴な疑問点などを書くスペースを置いている。本来はこうした問いから授業を深めていくことが理想であるが、時間に応じて取り上げる形が現状である。

「なぜ?」が多くないですか?

「先生、アウトプットのプリントの問いですけど『なぜ~か?』が多くないですか」先日の授業で生徒が述べた感想である。よく気付いてくれました。その通り!!問いは言葉の意味を聞くのではなく、意図的に理由や方法論(How)を入れるようにしている。それにより、因果関係や制度、システムの理解を求めることが多い、政治経済という科目の特性に合わせることができると考えているからである。生徒には「これからもWhyばっかりだよ」と答えておいた。設定する問いが「何か?(What)」やWhen(いつ?)に偏ると、調べれば分かる浅い問いになりやすいと感じている。

最終的には問いを作ってもらいたい

先ほど、述べたように本来は、教師が設定する問いを生徒が作ることが理想と考えている。前期は教師が主体として問いを提供し、個々の問いが増えてきたら、少しずつ、そちらにシフト出来たら良いなと考えている。まだ今年の授業は5回目が終わったところだ。ここからが我慢と調整の長い時間になる。少しでも、昨年を上回る形の授業の構築を目指していこうと思う!


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