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桐生が田舎になった日3

一本の電話

テレビメディアが取り出たされていいる昨今、この様な記事を書くのも憚られるが、書く事にする。
数年前、桐生市があるテレビ番組で特集され事になった。
桐生出身の企業が発起人となって、街を盛り上げると言うシナリオだ。
実はうちにも出演依頼が来た。
ADらしき人から電話が有り、他の出演者について尋ねると、桐生の有名店ばかり。そもそも、人気店揃いで、それぞれのお店にはコアなファンが存在し、賑わいを見せていた。わざわざ盛り上げる必要など無い。
その事を正直に伝えると、説明会の日程を後日知らせるとの事だった。
勿論連絡は無かった。

「炭水化物の街」誕生

オンエアー当日。
テレビのチャンネルを合わせてみる。
打ち立てられたコンセプトが衝撃だった。
「桐生の活気を取り戻そう!キャッチコピーは炭水化物の街!」
その当時桐生市で人気を集めていた店のメニューが今で言うデカ盛メニュー。それにあやかっての事だった。
イベント形式で、参加したお店がオリジナルのデカ盛りメニューで競い合うと言った趣旨の物。途中、涙ありの如何にもテレビらしい演出となった。
桐生市は老舗が多く存在する地域としても知られている。
デカ盛を否定するつもりは無いが、相応と言う事はある。
参加していたお店は高単価な老舗も多く、デカ盛りとは不釣り合いだった。
今でもこの企画への不参加は正しい判断だったと思っている。

ロストカルチャー

この放送を境に桐生市は文化を失った。
テレビがオールドメディアと呼ばれる様になり、随分経つが、地方都市の文化を消し去る程度の力は十分に残していた。
テレビ放映から数年経った今、何が残ったのか。
何も残ってはいない。
桐生市が「炭水化物の街」として認知している人はほとんど存在しないだろう。
辛うじて残してきた無形の財産「文化」。
一過性の話題の為にそれまで培ってきた財産を桐生市は自ら手放したのだ。

後継者不在

このテレビ放映を見た時に感じた違和感があった。
そこに参加していた顔ぶれだ。
先述したが、老舗と呼ばれる方々のお顔も見受けられた。
「この方々はこの企画に対して本当に前向きなのだろうか?」
私よりも15~20、もしくはそれ以上、年の離れた先輩方。
桐生文化の、ど真ん中で育った様な方々だ。
今回の企画が桐生市と言う土地柄にふさわしく無い物であった事は明白だったのうでは無いだろうか?
少なくとも私はそう感じていた。
組合、その他のコミュニティ等、所謂「お付き合い」で参加した方もいたのだろう。同調圧力にも似た「お付き合い」は、時として無自覚ながら文化を崩壊させる。あの中に真の桐生文化を後世に残せる後継者は不在だった様だ。

ここまで読んで頂き有難う御座います。
次回は桐生の歴史と文化について、もう少し掘り下げようと思います。
また読んで頂ければ嬉しいです。

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