経営者(広報)はこんな発信をするといい
経営者、または広報は、こういうテーマで発信をするといいと思います。
①会社をつくろうと思ったきっかけ
②会社をつくってからいちばん苦労したこと
③軌道に乗ったブレイクスルーなできごと
④商品やサービスの誕生秘話
⑤これからこういう世界を実現させたい
①会社をつくろうと思ったきっかけ
会社が始まったころには、かならず「ストーリー」があります。人はストーリーに惹かれます。ぜひストーリーを語ってほしいと思います。ファンの多い会社は、多くの人とストーリーが共有されていることが多いものです。Appleなら、ジョブズが一度追放された話はみんな知っていますし、Facebookが大学のサービスから始まったことを知っています。ぜひ自分たちにしか語れないストーリーを発信してほしいです。
②会社をつくってからいちばん苦労したこと
ストーリーでついつい語りがちなのが「成功譚」です。「会社設立以来、順調に成長し、顧客もこれだけ増え、◯年後にはマザーズ上場も果たしました!」そういうストーリーを語りがちなのですが、ここに読み手はあまり魅力を感じません。
それよりも苦労話、失敗話を書きましょう。「会社を立ち上げたはいいものの、お客さんはゼロ人。しばらくはパチンコに通っていた」とか「順風満帆だったのに、不況のあおりで一度倒産しかかり、一時期はカップ麺ばかり食べていた」とか。苦労話、失敗話は多くの人も「自分ごと化」できるので、共感を得やすいのです。
③軌道に乗ったブレイクスルーなできごと
失敗談ばかりの会社はおもしろいのですが、さすがに「じゃあここにお願いしよう」とはなりにくい。よって、会社がうまくいくようになったターニングポイント、ブレイクスルーしたできごとを書きましょう。ピンチからの復活劇です。下がってから上がる。ここに人はグッときます。
④商品やサービスの誕生秘話
①〜③は会社の話でしたが、個々の商品やサービスについても、同じようにストーリーを語ってみましょう。ロジカルに「商品のいいところ・メリット」を説明するのではなく、「私の妻が『レシピサイトは見てて楽しくない』と言っていたので、レシピも動画にしようと思いついた」「急に親が亡くなってしまい、実家の片付けが大変だった。それを代行するサービスができないかと思った」など場面が思い浮かぶような(「カンブリア宮殿」などで再現VTRがつくれそうな)ストーリーを語りましょう。
⑤これからこういう世界を実現させたい
①〜④が伝わっていると、その会社に関心を持つ人も増えるので、次は「これからこういう世界を実現させたい」という理想を掲げましょう。会社が描いている理想の未来を語るのです。それは会社の理念や、設立の思いにもつながるでしょう。
これを語るときも、「デジタルとアナログの融合によって顧客にソリューションを提供します」などといった「かたい」書き方ではなく「だれでも、かんたんに、発信ができる世界がつくりたい」といった誰もがわかる「やわらかい」書き方がいいでしょう。
キーワードは右脳、体温、感情。人の顔が見える発信を。
①〜⑤を通して、ポイントとなるのは「右脳、体温、感情」です。右脳、つまり感性やビジュアル脳に訴えかける。切ったら血が出るような「体温」のある書き方を心がける。理論、論理ではなく、感情が動くような書き方をする。
SNS時代、スマホの向こう側にいるのは「ベッドのうえでだらっと過ごしているような生身の人間」です。スーツを着てばりばり働いている人も、土日や家では普段着の生活者に戻ります。そういう人に届けるように書くのです。それがSNS時代の広報なんじゃないかと思います。
また、客観的な書き方よりも、主観的な書き方をすること。つまり「こんなサービスがありますよ」「こんなベネフィットがありますよ」じゃなくて「ぼくはこんなサービスがあるとハッピーになると思ったんでやってます」とか「近くにこんな困った人がいたからつくりました」みたいな書き方をするのです。SNS時代は「会社」の話が聞きたいのではなく、「社長」や「会社で働いている人」の話が聞きたいのです。
発信「したい」ことと、みんなが「聞きたい」ことにはズレがある
ぼくはPRや広報の専門家ではありません。なので「偉そうだな」と思われた方がいたらすみません。
ただ、ビジネス書の編集者として10年間ほど経営者の方と本をつくってきて思ったのは「発信したいこと」と「みんなが聞きたいこと」にズレがあるということでした。会社やサービスの「論理的な説明」よりも「社長個人のエピソードや思い」のほうが引きがあるし、「抽象的な企業理念」よりも「倒産しそうになった苦労話」のほうが引きがある。
自分たちの強みや魅力は、案外自分たちではわからないものなのです。
会社のファンをつくったり認知度を高めたいなら、ウン百万もかけて自費出版したり、出版セミナーとかに通うよりも、上記のテーマをnoteで発信すればいいでしょう。0円。コスパ最強です。そして、noteが人気になったら出版社側から話が来るはずです。(やたらnoteを推してますが、noteの回し者ではありません。お金ももらってません。知り合いはいるけど。)
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