まず値段を決める
1年半前、自社でサービスを始めるときに、どうやって値付けをすればいいか迷っていました。
そのときに経営アドバイザーのすがけんさんに教えてもらったのが「価値は相手の変化量」という言葉でした。
ざっくり言うと、価値というのは「自分がどれだけ労力をかけたか」ではなく「相手にどれだけの変化を与えられるか」。それを基準に値段は決めるといいよ、ということです。
こちらがどれだけ労力をかけてサービスを提供しても、相手の売上がたとえば10万円しか上がらなかったら、そこには少なくとも10万円以上の価値はないことになります。でも、サービスを提供することで1億円売上が増えるとすれば、それなりの料金をいただいても妥当、ということになります。
そのサービスによって相手がどれだけ変化するのか? 相手にどれだけの価値を提供できるのか? そこを指標に値決めすればいい、ということを教えていただきました。
※詳しくはすがけんさんのnote(有料)に書いてあります。
「価格以上の価値を提供しよう」
そのアドバイスを聞いて、「顧問編集者」という新しい仕事を始めるときに、自分としてはちょっと強気の料金設定をしました。「その値段に見合う以上の価値を提供できるはずだ」と判断したからです。
ただ、これまでにない仕事でもあったので「本当にその料金以上の価値が出せるのか?」「その料金に見合う以上の価値が提供できるのか?」と正直不安でもありました。
ただやってみて、ひとつ発見がありました。
それは料金を決めると、その料金以上の価値を出そうとすごくがんばるようになるということでした。
もし、最初にすごく安い値段で受けていたら、ぼくはそこまで価値を高めようとしなかったかもしれません。価値を上げる方向ではなく、新規のクライアントさんを探しにいって、どんどん仕事を増やす方向に行っていたかもしれない。
でも、ちょっと強気の値段を設定したことで、その値段以上の価値を出すことに集中するようになったのです。サービスを提供しはじめてから1年以上が経ちますが、この値付けがすごくいいスパイラルを生んでいることを実感しています。
そう考えると実は「値段設定が適正かどうか?」というのはあまり問題ではないんじゃないかとも思います。とにかく決めた値段に対して、それに見合う、もしくはそれ以上の価値を生み出し提供し続けること。
そこが大切なんだろうな、と思っています。
値決めは経営。値決めは覚悟
「値決めは経営」という言葉があるそうです。
京セラ創業者の稲盛和夫さんの言葉だそうですが、たしかに「値決め」というのは経営の根幹部分だなと感じます。
そしていまぼくが思うのは「値決めは覚悟」ということです。
よくあるケースが「これくらいの価値しか提供できなさそうだから、値段は下げておこう」とか「たくさん契約をとるために、なるべく値下げしておこう」というものです。
でもそれだと「低めの値段に合わせた価値を提供しよう」とか「低い値段しかもらっていないから、これくらいでいいだろう」という発想につながってしまいます。すると提供できる価値は下がってしまうことになります。
そうではなくて、「この価格にするんだ」と覚悟を持って決める。
そして、そこに向かって価値を上げていく。すると自分たちの腕も磨かれますし、サービスの価値・品質も上がっていくはずです。それがお客さんにとっても大きなプラスになるはずです。
もし値付けで迷っている人がいたら、まず値段を決めるといいかもしれません。すると「それ以上の価値を出すんだ」という覚悟が生まれます。あとは、それに見合うように価値を提供し続ければいいのです。