自#157|バンドは、あくまでも、趣味が基礎基本(自由note)

 EduAで、タレントのグローバーさんのインタビュー記事を読みました。グローバーさんの父親はインド人で、お母さんは日本人。両親は教育熱心で、小学校受験をして、横浜の桐蔭学園に入学して、小中高の12年間を桐蔭学園で過ごします。生徒数が多く、規則の厳しい学校だったようです。小学生の時から、制服にネクタイ着用。学校内では、男子部と女子部に分かれていて、校舎も別です。「男女七歳にして席を同じくせず」ってやつです。ただし、高3の時だけ、一時授業が一緒になると云う「謎の精神修行」があったそうです。男女ともに異性に免疫がないので、まあ、確かにこれは、一種の精神修業だと言えます。

 考えてみると、私も子供の頃は、同級生の女の子と話したことは、ほとんどなかったと思います。目立っていて、話かけて来そうな女の子は、学級委員タイプの先生の使いっぱ的な真面目な生徒でした。正直、タイプとして苦手で、距離を置いていたと云う記憶があります。可愛い女の子に、興味がまったくなかったと言ったら嘘になります。が、可愛い女の子には嘘があるし、裏があると警戒していました。まあ、これは子供の頃の考えで、大人になって、人生の場数を踏むと、可愛い、可愛くないにかかわらず、すべての女の子には、嘘も裏もあると云う簡明な真理が理解できるようになります。嘘は男の子にもありますが、裏は女の子ほどはないと思います。表と裏とを使い分けると云うのは、高いskillが必要です。女の子の方が、そういうskillは得意で、男の子は拙いと、一般的には言えると思います。

 グローバーさんは、勉強には興味はなかったんですが、親が喜んでくれるので、勉強をしていたそうです。これが、まあ普通に幸福な家庭の子弟なんだろうと想像しています(子供の頃、こういう風な普通に幸福な家庭の子弟は、少なくとも、私の周囲にはいませんでした)。高校で理数系に進んだのも、お父さんが望んだからだそうです。「インドでは、理系的に筋道を立てて考えることが良しとされる」と、グローバーさんは語っています。が、まあこれは、インドの一部の方々の考え方です。インド全般が、そうだと云う訳でもありません。

 グローバーさんは、高1の時、3ヶ月間だけ、ボストンの高校で、交換留学生として過ごします。ボストンは、WASPの牙城の街です。ニューヨークやロサンゼルスのようなカオスではありません。大学ですと、意図的にdiversityを作りあげますが、高校段階では、WASP的なカルヴァン主義が、行き渡っている筈です。自ずと秩序と規律があります。ですから、短パンとTシャツとかで、学校に行っても、問題なしなんです。制服にネクタイ着用で学校生活を過ごして来たグローバーさんは、開放的なアメリカ文化に触れて、カルチャーショックを受けます。

 ボストンの高校で最初にやったゲームは、自分の番になったら、後ろ向きになって、そのまま後ろに倒れ込む遊びです。後ろに倒れ込んだら、周囲の人が受け止めてくれます。人は信頼できるし、人は誰かに支えられていると云うことを、このゲームを通じて学ぶ仕組みだと推測できます。が、必ずしも、人が信頼できるわけでもないし、時には誰も支えてくれないことも、現実の人生ではあります。そっちは、学校のカリキュラムで学ぶことではなく、人生の荒波にもまれながら、各人が、ケースバイケースで、個別に学んで行く経験則だと言えます。

 グローバーさんのルームメートは、ボブマーリーの「バッファローソルジャー」を教えてくれたそうです。私は都立高校で、35年と半年間、生徒と関わって来ましたが、高校1年で、ボブマーリーを聞いている生徒には、出会ったことはありません。音楽に関しては、アメリカの高校生の方が、はるかに幅広くいろんなものを聞いていると、アメリカ映画に出て来る高校生を見ても感じます。

 グローバーさんは、現役で、東大に合格しています。桐蔭学園は、早慶上智クラスには、そこそこ合格させていますが、東大にそれなりの数、合格者を出している浅野とか栄光学園、聖光学園のような、バリバリの受験校ではありません。グローバーさんは、勉強の要領の良い、cleverでwiseな生徒だったと想像できます。塾には通いたくなくて、行ってないそうです。自分で勉強できる生徒にとっては、塾は正直、無駄が多過ぎます。塾に通う往復の時間も無駄ですし、塾の講座や、人間関係なども、余分な負担になります。

 グローバーさんの勉強法は、ひたすら繰り返し読むことだそうです。おそらく、小声で音読をしていると推測できます。勉強をする空間は、自分の部屋です。机に向かうとダメだそうです。つまり、机に向かって座らないで、鉛筆も持たないで、自分の部屋でリラックスできるポーズを探して、いろいろと姿勢を変えながら、とにかく読んで覚えたのだそうです。実は、これは、私が受験生の時にやっていた勉強法と、まったく同じです。私がいた部屋は、天井裏にハトが住んでいて、ハトの鳴き声が、正直、煩(うるさ)かったんですが、集中してゾーンに入ると、ハトの鳴き声は一切聞こえなくなります。それと、勉強を始める時点では、勢いをつけるために、音楽を流していたんですが(レコードもかなり持っていましたが、扱いが面倒なので、勉強をする時は、カセットテープをラジカセで流していました)集中し始めると、音楽は聞こえて来なくなります。スタンディングで、柱や壁によっかかって本を読むのが基本のスタイルです。眠くなると、片足を上げたり、上半身を曲げたり、爪先立ちして伸びをしたりと、いろいろ工夫をしていました。それでも、眠い時は、外に出て、お城の遊歩道を歩きながら、本を読んでいました。ただし、これをやると、夏場ですと、蚊に刺されて苦しみます(が、絶対に眠くなりません)。冬場は、手先が冷たくなります。軍手をして防寒すると、本のページが捲りにくくなります。

 もし、私が、東京の高校生で、受験勉強をするとすれば、一応、定期の範囲内で(法は遵守しなければいけませんから)電車に乗って、何往復もしながら、立って本を読み続けます。私の場合、もっとも効率的に本が読めるのは、電車の中だと、東京に上京して発見しました。まあ、人それぞれのやり方が、きっとあると思います。予備校の自習室で、可愛い女の子の横顔とかを、ちらちら眺めながら、勉強するのがbestだと云う人は、その方法で、邁進(まいしん)すればいいんです。

 グローバーさんは、バンド活動が忙しくて、東大を中退しています。私は、バントは、本当に心の底から好きですし、35年間、ずっと高校生バンドの面倒を見て来たので、ディスりたくはないんですが、バンド活動って、人生にとって、どうしょうもない抵抗勢力に、往々にしてなりがちです。バンドは、あくまでも、趣味として、学業や仕事と両立させて、バランス良く楽しむと云うのが、基礎基本だと、きっぱりと断言しておきます。

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