【受験ノート】國學院大學

 國學院大學のキャンパスは渋谷にありますが、渋谷に遊びに行ったことがある高校生が、一度も足を踏み入れたことがないと思われる、商業施設がほぼほぼ皆無の渋谷のあっち側にあります。つまりセンター街(今はバスケットストリートとかと云うアレな名前になっていますが)や109(まるきゅう)とかとは、まったく真逆の方角で、華やかで便利な渋谷の恩恵は、まったく受けてません。渋谷駅から、徒歩で15分くらいはかかるので、お昼休みに渋谷の街に行って、ランチを楽しむと云ったこともできません。國學院は、渋谷の街や文化とはまったく無縁の、ある意味ぼっちな人文・社会学系の中堅私大です。

 すぐ近くに実践女子大があり、首都高のガードを潜ると、青学のキャンパスが広がっていますが、ぼっちですから、他校とのお付き合いは一切ありません。インカレサークルは、一個もないですし、もしかしたら、インカレと云う言葉すら、國學院の学生は知らないかもしれません。

 地味で真面目、コツコツと勉強する努力家タイプの学生が、ボリュームゾーンです。すぐ傍の実践女子大も、どっちかと云うと地味系の大学ですが、そこはやはり女子大ですから、地味が逆に「控え目で感じのいい女子」と云う印象を与えます。それに女の子は、地味と言っても、バランスの取れたいい具合の地味で、自分を作り込むことができます。男子は、往々にして、限度を越えたオタク系の地味の域に陥ってしまいます。國學院の女子は、そこまで地味ではないです。地味のオーラは、男子学生が作り出しています。

 國學院は、サブカルチャー系のオタク男子が多い学校です。ガルパンとか艦コレのネタで、一緒に盛り上がれるクラスメートは、普通にいたりします。無論、普通の二次元ギャルのネタでも、意気投合できます。國學院は、地方出身者が多い学校ですが、サブカルの熱さに関して、今や東京と地方との差はありません。ネットの情報はどこに住んでいても、shareできますし、アニメイトだって、全国津々浦々に店舗があります。

 成成国武独の他の4つの大学は、地方では無名ですが、國學院は知られています。神主さんが國學院出身だからと云う訳ではないです。高校生が、神主さんと知り合う機会は、普通ないし、たとえ知り合っても学歴など、訊ねたりしない筈です。國學院が、知られているのは、國學院出身の国語の先生が、結構、いるからです。地方の中学・高校の先生の多くは、地元の国立大学出身ですが、国語と理科と数学の3つの教科は、東京帰りの先生が、一定数います。国語は、國學院出身、理科と数学は東京理科大の卒業生です。漱石の坊ちゃんは、江戸っ子の坊ちゃんが、東京物理学校(東京理科大)を出て、松山くんだりまで、行って、中学校の先生になるわけですが、まあ、そういうケースはさすがにありません。地方の高校生が、国語や理科・数学の先生になるために、國學院や東京理科大に進学して、地元に戻って来るんです。目的がはっきりしている、そういった地方出身の学生は、熱心に勉強します。渋谷に行って、大学デビューして、ぶいぶい言わせると云った風なととは、想像すらしたことがない筈です。

 ウチの部活から、國學院に結構、進学しています。それも、基本、ちゃらい生徒ばかり。國學院の雰囲気を壊しそうです。が、まあ案外と空気を読んで、地味を装ったりしてるのかもしれません。地味を装いながら、渋谷で遊ぶことくらいは、中堅校出身の学生であれば、普通にできます。

 大学のキャンパスで、おもいっきり青春したいと云う生徒は、國學院には進学しませんから、サークル活動などは低調です。頑張っているのは、箱根駅伝の常連校の陸上部くらい。そもそも、勉強が忙しいので、サークルに入っても、途中でリタイアします。雅楽とか香道、吟詠、能楽などの伝統芸能のサークルはそれなりに活発で、さすがは、國學院だと思わせてくれます。

 学食は洋食系の「メモリアルレストラン」と和食系の「和(なごみ)の2つがあります。和食系の「和の方は、中大と変わらないくらいのハイレベルの味だと評判です。和にこだわるのも、國學院ならではかもしれません。

 山手線沿線私立大学図書館コンソーシアムと云う協定があって、國學院・背学・学習院・東洋・法政・明治・明治学院・立教の図書館の蔵書を、この八つの大学の学生は、自由に利用することができます。が、人文系は、國學院の図書館が、圧倒的に充実しているので、國學院の学生にとっては、さほどメリットはないと想像できます。

 看板学部・学科は、全国の学校に国語の先生を輩出している文学部日本文学科です。あと折口民俗学が学べる史学科もそれなりに高いポジションです。単位取りも難しく、課題量が最も多いのは、中国文学科。中国文学科出身の漢文の先生も多いんですが、この所、高校の漢文のカリキュラムは薄くなっていますから、そのへンの流れは、多少、変わって行くのかもしれません。

 ウチの部活のOBの二人は、神道文化学部に進学しました。國學院の中では、番外地と云うか一種、異次元の学部です。一人は、他の学校、学部を全落ちして、やむなく進学しました。元部長のUくんは、第一志望が、國學院の神道文化学科でした。

「神道とか、大学で学ぶことあるのか?」と云うのが、偽らざる私の率直な本音です。神主さんの資格を取るために、國學院or皇學館(三重)に進学していると云うのが、実態です。神道には、体系的な教義は、一切存在しません。そもそも、日本は多神教ですから、体系的な教義は、作り得ないんです。多神教について、研究していけば、結局の所、カオスの中に、ずぶずぶとのめり込んで、行くことになります。

「カオスの中に、ずぶずぶのめり込むんで行く。が、まあそれもありだな」と、Uくんなりの腹をくくって、進学した筈です。

 もっとも神道の礼式や作法は学べます。それは別に大学で学ぶことではないと思いますが、そのへンは、個人の文化観、価値観の問題なので、自分の意見を押しつけるつもりはないです。

 今や猫もしゃくしもGlobalですから、じゅんじゃぱ(純Japan)の國學院もGlobalに、alittle 舵を切りました。日本について学び、それを外国に発信すると云う目的で、國學院科目と云う体験型の全学部共通科目を設置しました。ちなみに、雅楽・書道・礼式・茶道などのメニューです。

 言い忘れましたが、人間開発学部は、東急田園都市線の沿線のたまプラーザにあります。たまプラーザ、Where?って感じだろうと推測しています。ごくごくぶっちゃけた言い方をすると、東急電鉄が、横浜市の北部の山を切り崩して造成した、東急、ブランド全開の成金タウンです。千葉出身のマツコデラックスは、この沿線が大嫌いだと、テレビで言ってました。確かに、たまプラーザとか、あざみ野、青葉台あたりは、妙に勘違いした横浜のえせセレブが住んでいそうな気もします。が、國學院のキャンパスは、駅から5分で、ある意味、渋谷より便利です(周囲にお店もたくさんあります)。

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