腓腹筋(gastrocnemius)
今回はふくらはぎの筋肉、腓腹筋について!
腓腹筋は歩行や走行はもちろん、アキレス腱を介して足首の硬さにも影響を与えている筋肉の1つです。
膝裏ではハムストリングスとも連結を持ち膝関節にも影響があります。
しっかり整理しておきましょう!
腓腹筋の起始停止
(Visible bodyから引用)
起始:
内側頭:大腿骨の膝窩部、大腿骨内側上顆、膝関節包
外側頭:大腿骨外側上顆、膝関節包
停止:アキレス腱となり踵骨隆起
支配神経:脛骨神経L(4)、5~S1、(2)
作用:足の底屈、膝関節の屈曲
(基礎運動学第6版)
起始:
内側頭:大腿骨内側上顆
外側頭:大腿骨外側上顆
停止:アキレス腱となり踵骨隆起
支配神経:脛骨神経L4~S2
作用:足の底屈、膝関節の屈曲
(分担解剖学1総説・骨学・靱帯学・筋学)
起始:
内側頭:内転筋結節の後方で大腿骨内側顆の上後方、内側顆上方の膝窩面のやや上方
外側頭:大腿骨外側上顆の外側面の後上方、顆上線の下部
停止:アキレス腱となり踵骨隆起
支配神経:脛骨神経S1~S2
作用:足の底屈、膝関節の屈曲、足部の回外
(オーチスのキネシオロジー第2版)
起始停止はほぼ一致していますが、膝関節の関節包に付着していることは知っておきたいポイントです。
膝を深く曲げたときの膝窩部のつまり感などの一因として腓腹筋の問題があるときがあります。
停止部はヒラメ筋、足底筋と合流してねじれながらアキレス腱を形成しているため、踵骨(距骨下関節)の可動性にも影響を与えてます。
筋機能
腓腹筋が足関節底屈の主動作筋であることは多くの報告で一致しています。
足関節と膝関節をまたぐ二関節筋でもあるので、膝関節の肢位にも大きく影響を受けます。
膝を伸ばした状態で底屈すれば腓腹筋とヒラメ筋が主に働きますが、
膝を曲げた状態ではヒラメ筋が主として働きます。
歩行では初期接地や立脚中期で腓腹筋は伸張されるため、短縮している人では膝の屈曲が代償として表れやすいことも報告されています。
足関節背屈のストレッチも同様で、膝を伸ばした状態では腓腹筋、膝を曲げるとヒラメ筋が主に伸張されます。
足関節や膝関節に痛みや不安定性がある患者さんでは、腓腹筋の短縮や筋力低下があることが少なくありません。
片脚立ちでの踵上げを安定してできる人が意外と少ないことを感じている人も多いのではないでしょうか。
歩行や走行時には腓腹筋が遠心性で収縮することで足関節の安定性に関与していますので、腓腹筋の筋力低下によって足部周囲の痛みにつながることもあるのでチェックしてみてください。
筋膜連結
筋膜連結では、腓腹筋はスーパーフェイシャル・バック・ライン(SBL)に含まれます。
足底腱膜、短趾屈筋⇒腓腹筋⇒ハムストリングス⇒以下略
腓腹筋とハムストリングスの関係性は少し特殊なので説明します。
解剖学的には疎性結合組織で連結されていますが、膝関節が屈曲することでその連結が緩みます。
これは、例えば立位からの前屈動作で実感することが出来ます。
膝を完全伸展させた状態での前屈動作と、少しだけ膝を曲げた状態での前屈動作では動かせる範囲が大きく変わると思います。
これは、膝を伸ばした状態では腓腹筋とハムストリングスが連結されている状態では両者の影響を強く受ける一方で、膝を少しでも曲げると連結が解除されるのでより曲がるようになります。
膝関節系の疾患で、完全伸展が出せない人は多いですが、その要因として筋膜連結という観点からも臨床推論を進めていけるといいかもしれませんね。
経絡
経絡としては膀胱系の影響が大きいと考えられます。
腓腹部では主に下腿後面の外側を走行していますので、特に腓腹筋外側頭と関係があると思われます。
全体としてはハムストリングスのところも参照にしてください。
腓腹筋の周辺組織
(Visible bodyから引用)
腓腹筋の周辺組織としては、大きく膝窩部とアキレス腱部で分けて考えてみましょう。
まず膝窩部ですが、前述の通りハムストリングスと筋膜連結しています。
そして関節包上を走行して大腿骨へ付着します。
そのため、腓腹筋と関節包、滑液包などとの癒着による下腿の回旋制限を生み出すこともあります。
中央には膝窩動静脈、坐骨神経から総腓骨神経や脛骨神経に枝分かれして走行しています。
アキレス腱部には、Kager’s Fat Padと呼ばれる脂肪体があります。
これは主にアキレス腱の滑走を良くしたり衝撃吸収したりする役割を持っています。
捻挫や骨折等で足関節を動かさないような時期が長くなると、この脂肪体が動かなくなり足関節に悪影響となるときもあります。
この脂肪体は細かく分けると3つのパートに分かれており、長母指屈筋などとも関連していますので、ご興味ある方は調べてみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
筋肉1つ1つを理解することも重要ですが、それぞれの筋肉がどのようにつながりを持っているのかを理解することも臨床で変化を出すために必要になります。
足関節にも膝関節にも影響が大きい、腓腹筋についてでした!
それではまた来週!
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