【痛みとは??】Pain Science 研究による痛みの分析と未来!
みなさん、人生で一度は痛みを感じたことが必ずあるでしょう。
慢性的な腰痛だったり、または急性的な足首の痛みだったり、、、
痛みのない人は、人間ではありません。
痛みは人間の体のシステムにとって不可欠なものなのです。
僕みたいなアスリートの怪我を処置したりリハビリしたりするアスレチックトレーナーや理学療法士さんにとって、痛みの処置はとても大変で大切なことです。
痛みををなくしてその人のゴールにあった動きなどを指導するのが僕らの仕事ですので。
この際に、痛みについての理解、
痛みとはなんなのか?
どのような働きがあり?
何によって支配されているのか?
を理解することは必要不可欠だと思います。
今回は、このとても深いトピック『痛み』についてDive Inしていきましょう!
痛みとは?
痛みはただ単に体のいたるところにあるの細胞や体のパーツを守るためにあるもの!
Pain is a life saver (痛みは命を救うもの)
一般的な痛みとは何か?という解釈をする際、従来の見解は、痛みとは細胞の状態を神経を通じて脳に伝えているものと解釈されていました。
痛みとは、自分の体にとって大切な細胞や体の働きを守る(Protection) ためにあるものです。
痛みを理解する上で、知らないといけないのがNociception。このNociception (侵害受容)とは、Danger Detector、すなわち、危険を察知する器官であるのです。。そしてこれは体の細胞のいたるところにあります。ここで行われているのは、ただただDanger Message (危険信号)を送ることのみです!
どのような危険信号?とかは痛みにとって関係なく、
大切なのは、脳がその信号をどのように解釈するか!
ある臨床的な経験を考えてみましょう。
腰椎のX rayやMRIをとったことがある人は多いでしょう。そして、返ってるくるレポートの上にはこのような診断結果や医療単語を目にすることが多いだろう。
”Degeneration (変形性椎間板)"
”Herniated Disk (ヘルニア)"
研究結果で、MRIによるこのような”とても重大な怪我”のように見えたり聞こえたりする単語や医者の言葉を聞くことによって、腰の痛みが増してしまうという結果も出ています。
このようなすごい病名風な言葉を聞くことによって、脳内では
うわーどうしよう、自分の腰は他の人と比べてめちゃくちゃになってる。
と言う危険信号を解釈してしまい、脳が守ろうとしてさらに痛みを発生させてしまうのです。
脳がこのDanger Message (危険信号)をどのように解釈するかが痛みにとってとても大事なのです。
他の研究でも、同じ背中の慢性的な痛みの患者たちに、この痛みの仕組みや怪我の性質についてしっかりと説明することによって、痛みが著しく軽減し、Functionも改善されたと言う結果も出ています。
これらの研究でわかるのは、痛みが全てではなく、Danger Message (危険信号)を脳がどのように解釈するかがとても重要なのです。
痛みに関わる要因
先に説明したように、
Pain is all about protection.
痛みは体を守ることに徹していること!これはとても大事なことです。
この考えを理解することは、怪我を処置するのにとても大事です!
Anything that suggests you need protecting takes pain up!
Anything that suggests you don't takes pain down.
(自分の体にとって守らないといけないものは痛みを増す、そして反対に、体にとって守らなくてもいいものは痛みを軽減させる)
この痛みに関する性質をわかりやすく描く例をあげてみましょう。
たとえば、バイオリニストの例。左手は右手に比べて敏感であろう。もし左の指をカットしてしまうのと右手にカットしてしまうので比べたら、左手の方が自分の体にとって大事で敏感なので、痛みは右指より大きいだろう。左の指はバイオリンを弾く際のとても重要でなくてはならないものですよね。
ここで大事な考えで、
あなたが生きる上で守らないといけない部分、働き、細胞などは痛みを敏感にさせる。
反対に、必要のないものは痛みを軽減する。
上にあげた例などで、痛みをどのように脳が解釈するかが大切と述べましたが、痛みの度合いに関わる要因は何個かあります。
- 生物的要因 (BIO)
- 心理的要因 (Psycho)
- 社会的要因 (Social)
痛みと怪我の関係性
ここで重要なのがこれ、
痛み≠組織の怪我!!
たくさんの人が足首の捻挫を経験したことがあると思います。僕もバスケで何回もひねりました。
足首のねんざのケースを例に見てみましょう。
よく見るのが、足首を内側にひねり、外側の軟部組織が怪我をしてしまう。これがいわゆるLateral Ankle Sprainですよね。
軟部組織の治癒には、生物学的に4−8週間かかります。(怪我の度合いによって1−2年かかることも)ですが、1ー2週間で走ったり、競技復帰したりは普通にあり得るケースですよね。短い期間で痛みもなくなってPlayできる状態に戻すのはよくあることです。これはこの人が素晴らしい治癒能力があって靭帯などの軟部組織が摩訶不思議と治ったのでしょうか?
NBA PlayOffでのマーベリックス対クリッパーズの大事な試合の終盤で、エースのルカドンチッチが足首を思いっきりひねってしまい途中退場。
ですが、二日後の試合には完全復帰!そして試合を決める大事なブザービーターを決め勝利!(鳥肌ものでしたね)
ここで心に留めておくことは、
痛みが必ずしも怪我の状態と比例しないと言うことです。
確かに、腫れ(Inflammation)はこのDanger Message(危険信号)とDanger Detector (危険察知器官)を敏感にさせます。これは人体の素晴らしい機能で、腫れが危険信号を送りやすくさせることによって体を守る働きをしているのです。
Body system Learns
体と脳の学習能力は素晴らしいものです。ですが、この痛みの性質に関してはネガティブにも働く可能性もあります。
体は痛みを学習し、長期にわたって体を過剰に守ろうとシステムを変えてしまうことも多々あります。(OverProtection)
ですが、これによって痛みの伴う動きや運動を避けてしまって行くことで、どんどんと、このOverProtectionが促進されていきます。
自分からのActive/能動的な運動(Passiveではなく)はこの痛みのシステムを和らげてくれます。
Active(能動的)な運動はこのOverProtectionを妨げてくれます。
OverProtectionの状態での、Activeな動きを避けて何もしないことによるリスクの方が、Activeな動きをすることに比べてとっても高いこともわかってます。
Retrain your system!(体の中の痛みにシステムを鍛え直さないといけないのです!)
まとめ
忘れてはいけないのは、痛みは嘘で、メンタルだ!って言ってるわけではありません!
痛みはリアルなものです!ですが、脳がどのようにそれを解釈するかはもっと重要です。
最後にもう一つ実際にあった例を見てみましょう。
ある男の人が救急車で病院に運ばれてきました。彼は、長い釘を踏んでしまい、それが靴を貫通していました。彼は病院で叫びまくるほどの痛みで、とても強力な痛み止めを投与しないといけませんでした。
靴を取り除き、Xrayなどとった結果、なんと釘は全く足を貫通しておらず、指の間を通り抜けていたのです。
このように、脳内での危険信号をどのように解釈するかによって、痛みの程度や有無は非常に左右されることが、最近の研究では明らかになってきています。もっともっと研究は必要ですが、
僕たち患者やアスリートを日々相手にする人たちは、痛みに関する知識は絶対不可欠で、
どのように患者やアスリートと関わるかによって彼ら彼女らの痛みをコントロールできるのです。
Be a Student! これからもどんどん学んでいきましょう!
See Ya!
引用:
今回の情報の大半はLorimer Moseleyの研究によるものです。
Lorimer Moseley*,y and David S. Butler*,Critical Review, Fifteen Years of Explaining Pain: The Past, Present, and Future
もっと情報が欲しい方は、ぜひ彼の論文をみてください。
Internaitonal Association for the Study of Pain (IASP)もぜひ参照に!
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