#18 女の子になる



突如きた真琉狐さんの連絡

「やば!てか買い物?え?どゆこと?あー早く返信せねばー!!なんて書けばよいーーっ?!」
とりあえず行くかどうか書きゃいいじゃん!

とにかく返信返信!

お疲れ様です
連絡ありがとうございます
今から用意すれば間に合うと思います
因みにどこに行けばよろしいでしょうか?

「ふーっ」
額から滲み出る変な緊張の汗を腕で拭う
風呂上がりなのに、、、

するとすぐに

じゃあ新宿で!
まあベタだけどアルタ前にしよっか?
アルタわかる?
「いいとも」やってたとこ

アルタ?いいとも?
んん、アルタ?いいとも?
何か有名な場所なのだろうか?
いいとも?
何か聞いたことあるようなないような?

はい
とにかく調べて向かいますので
よろしくお願いします

するとすぐに猫のキャラクターが
「よろしく」
と言ってるスタンプが返ってきた

「うーん、先輩にスタンプで返すのはいかがなものか?でも返信すると気を遣わせてしまうかも?んー、、、えいっ!」

白い男がGoodポーズをしているテンプレのスタンプを送った

「えー今のであってんのかな?大丈夫かな?うおーーっ!!」
心配症な私
その画面のままのスマホと睨めっこ

ジーーッ

「っよしっ!既読ついたー」

さあここからどうしよう
「真琉狐さんと一緒かぁ、まずとりあえずメイクしなきゃか」

最低限の道具しか入っていないメイクポーチを開く
「大学の時は一応してたけどもう忘れたよー」
泣き言を言いながらとりあえずファンデ

「お風呂入ってて良かったー」
一応肌の手入れだけはしてたので省略できた

パパッと約20分
基本的にいつもこのくらいで済ませてた

最後に薄いピンクのリップをつけて出来上がり
鏡を見る

「ま、まあ十分でしょ!私の技術でどんだけがんばっても真琉狐さんと釣り合うのなんて無理だしね。最低限、真琉狐さんが恥かかなけりゃOKよね」

メイクはまあ及第点として次は服だ!!
「これは厳しいぞーー」

まず第一に服を持っていない!
入寮する際にこれまた必要最低限持ってきただけでこっちに来てからはTシャツを何枚か買ったのみでオシャレ着として着るものは一枚も買っていない

「ぬおぉーぅ!こっちに来てジャージに慣れすぎたぁー!!」

こういう時はSNSを参考にしてみよう
アプリを開く
フォローしている同期たちの写真を見てみる

「うわーめっちゃみんなオシャレやん!」
そうみんなそれぞれ自分に合った雰囲気の服を着ていてファッションや私生活を楽しんで見えた

「それに比べてわたしゃぁ毎日ジャージにすっぴんだよ」
たまえがまる子の口調に、、、

プロレスラーたるモノ
いつどこで誰に見られても恥ずかしくない格好をしなさい!
ってどこかで聞いたことあるなぁ

「仕方ない!最終手段。あの時の服着るか」

そう大晦日の両国の時に着ていたアレだ
あれから3ヶ月弱経つが何となくまだ身バレが怖くて着たくなかったが背に腹は変えられまい!

黒のちょっとボリューム感のあるへそが見えるか見えないかくらいの丈感のタートルネックのセーターにハイウエストのグレンチェックのワイドパンツ
そして

「タララタッタラーン!トレックウェーブの白ー!!」
大学時代ちびっこの私には必須アイテムだったがとにかく重い!
ハイカットで履くのがめんどい!
なのでこっちで履くのは初めてだ

これにいつもの白のダウンを合わせればまあそれなりであろう

「何かオラわくわくしてきたぞー!髪セットしよーっと!」
ヘアアイロンを温め始めた

髪も全くセットなんてしていなかった
天然で茶味かかった髪なので特に染める必要もなく
前髪も自分で切っていたので
美容院というものにこのところ全く縁がなかった

「うーんどうしよ?ハーフアップだとちょっと後ろ長いなぁ。それに練習の時の夢子さんと被るしぃ。ちょい巻いてアップでゆるふわお団子かな?よし!それでいこ」
久々の割には手際悪くないんじゃない?
ささっとセットも10分強で

「因みにおでかけする時のまる子はお母さんにお団子してって言うのは豆な!」
誰に言ってるのだろうか?

メガネを掛けちょっと遠目から鏡で最終チェック!
「まあまあ悪くないんじゃない?」

後はコンタクトだが探せど探せど出てこない
「そっかぁーこないだ使い切ったかー」
愕然

「まあでもいつもに比べりゃイケてるっしょ!」
前向きな気持ちが大事

「よし!今出たら多少迷っても充分間に合うな」

いつものスポーツ系の大きいモノではなく小ぶりのかわいいリュックを背負って寮を出た
歩こうかとも思ったがバッチリのタイミングでバスに乗り込む
駅に着き電車の来るタイミングも完璧でノンストレス
そしてアルタの場所をスマホで確認

「ふんふん、東口を出ると目の前かぁ」
大体の場所は把握できたが新宿駅の中は一度入ると一生出れない要塞の様になっていると聞く
私は大丈夫なのだろうか?
不安が襲う

そんな不安に煽られつつ新宿駅に到着
改札を抜けとりあえず東口と書いてある看板を探す
「ぬおぉおーいっぱいいろいろ書いてるぅーどれじゃい?!」

ここは西口って書いてあるから真逆か?
ん?真っ直ぐだとダメなのか?
看板を見ながらぐるぐるぐるぐる地下要塞を回ってる

もう疲れたよパトラッシュ
トレックウェーブの重さが僕の体力を奪っていくよぅー

「ん?、、、あったーー!!」
思わず叫び熱視線を浴びる田舎者とは私のことです

この階段を登ればあの有名なアルタだ!!
(私は全く知りませんが)

登り切ると東口の広場
そして目の前の建物には
「STUDIO ALTA」と書いてある

「よっしゃー!!」
小さくガッツポーズ

スマホを見たら14:51
よしよしまあまあギリ10分前行動に成功!
「いやーでももしかしたら真琉狐さんもう来てたらどうしよう?」
なんて考えながら信号待ちをしていたら

突然
「にゃあぁーお」
と大きな猫の鳴き声

「え?え?猫?なんで?こんな大きな声で?」
周りをキョロキョロ

「え?猫?え?いないけど?」
何も気にせずふと上を見た

「にゃあぁーお」

「ね、ね、猫ーーっ!!」
巨大な猫が私を見下ろしていた

「お、お、お」
目を丸くし少し後退りしながら状況把握に努めようとした時

「にゃあ!」
と、後ろから腕を組まれた

「うわぁーっ!!」
すぐさま振り向く

そこにいたのは両手でにゃんにゃんポーズをしている真琉狐さんだった


「にゃん!」



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