ベルリンフィル・バイオリンアンサンブルコンサートの思い出〜超絶技巧Bogdan Dragus
こんにちは。高月香里です。
iPhoneから懐かしい写真が出てきました。
2018年10月10日、元師マリネスク氏からLINEで送られてきた写真でした。
その日はベルリンフィルのメンバー10人によるコンサートがあり、私は聴きに行きました。
開演前、真ん中より少し後ろの席に座っていた私は、もしかして樫本大進さん(ベルリンフィルのコンマス)が客席に来られてるのではないだろうかと、キョロキョロあたりを見回していました。
そうしましたら驚いたことに、私のすぐ後ろの席に、なんとマリネスク氏が座っているではありませんか!
思わず、「先生!?」と言ってしまいました。
先生も私に気付き、「香里さん?なんで居るの?」と言われました。
なんでって言われても、聴きに来たに決まってるじゃないですか。まぁ先生も相当びっくりされたのでしょうね。広いコンサート会場に、よりによって前後の席を取っていたのですから。
そんなこんなでコンサートは始まったのですが、期待した音とはほど遠く、何かおかしいと思いながら拍手をしていました。
来日してから音合わせ等をしていないのだろうか、そんな演奏に聞こえたのです。残念ながら最後までその感じが続きました。
しかし、アンコールでそれが一掃されました。
10人の中のコンマスがドラグスさんをルーマニアのバイオリニストだと紹介し(英語で)、ドラグスさんは一人で弾き始めました。
もう最初のたったの数秒で感動しました。その後もずっと超絶技巧を見せつけ、勿論音でも魅了し、あっという間にホール全体をそれまでとは全く違った空気にしてしまいました。
演奏後物凄い拍手が湧き起こり、先生は「Bravo!」と叫んでおられました。私も手が痛くなるくらい拍手をしていました。
来てよかったと思えました。
終演になり、私は先生と帰るかなと思ったのですが、先生は、
「香里さん、僕は彼とちょっと話してくる。同じルーマニア人だからね」と。
ですので私は先に帰ることにしました。その帰宅途中、先生からのLINEを着信しました。
LINEを見ましたら、写真が送られてました。以下。
冒頭で申し上げた写真です。
…ちょっと考えてみてください。あなたの習っている楽器の先生は、外国でこのようなコンサートへ行きそこでたまたま日本人が演奏したとして、自分も日本人だからと言って声を掛け、コンマスも一緒に食事に行けたりしますか。
しかもあのベルリンフィルの、ですよ。
我が師は偉大だなと思ったしだいです。
最後になりましたが、観客を瞬く間に感動の渦に巻き込んだボグダン・ドラグスさんの超絶技巧、『The Lark』をお聴きください。
人生に素敵な音楽を。