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「文化財虫菌害防除作業主任者資格」について

博物館4コマ漫画『ただいま収蔵品整理中!』シリーズには、柊さんという女の子が登場します。

彼女は文化財害虫に詳しく、まだ学部生(大学3年生)ながら、その知識で他の調査員たちにも一目置かれています

本シリーズの登場人物は基本的にはモデルがいるのですが、彼女にこれといったモデルはいません

彼女が登場するきっかけとなったのが、自分が「文化財虫菌害防除作業主任者資格」の資格取得の勉強をしていたことでした。

文化財虫菌害防除作業主任者資格」とは、文化財虫菌害研究所が行う、文化財虫菌害の防除を行う技術者の能力認定資格です。

毎年1回、3月頃に東京(主に代々木オリンピック記念青少年総合センター)で開催され、文化財虫菌害防除技術者、文化財保存管理者等を対象に、2日間の講習を受講し、3日目に試験が実施されます。

講義内容は、文化財の害虫カビの基礎知識被害防除対策燻蒸処理の基礎知識安全対策労働衛生についてです。

この資格は、博物館の収蔵品を燻蒸する際、文化財燻蒸剤を取り扱う業者さんの必須資格となっています。

ただ最近では、文化財燻蒸に立ち会う学芸員さんも資格を取得する方が増えています。
これは、どんな燻蒸剤がどんな素材の資料に悪影響を及ぼすのか、把握しなければなりません。

実際に知識がなく業者にまかせっきりにして、資料が変色してしまった事故もあります。

自分は当時、受け入れ直後の資料の整理でよく文化財害虫を発見することが多かったため、虫の同定と加害に役立たせたかったため、受験しました。

申し込みするとテキストが送られてきます。
講習を受講すれば合格というわけではないため、、1ヶ月くらい猛勉強しました。

講習会には、スーツケースを持ち込む方が多くいました。
これは、講習会が東京でしか行われないため、全国から泊り込みで受講する方が多くいるためです。

また、受講者は100名程度はいたと思います。
燻蒸業者さんが多い印象でした。

試験内容は、講習会の内容も重要ですが、講習会2日目昼休みに販売される過去問集とほぼ同じだったため、これに目を通しておけば、ある程度は正解できると思いました。

自分の場合、そうとは知らず、過去問よりテキストを主に勉強していたため、合格するか不安でした。

その際、「不合格になったら実績にもならない。せっかく身につけた知識、忘れないうちに漫画化させよう」と思い、柊さんが生まれました

結果的には合格し、柊さんという個性的なキャラクターも生まれたので、本当に良かったです。

資料整理において、虫やカビを確認した際、どのように対処するか考えなければなりません。
その際に、この資格で得た知識はとても役立っています。
今後も、柊さんを通して、作品内で虫菌害についてのことを発表していきたいなと思います。

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鷹取ゆう【博物館漫画家@単行本発売中!】
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