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スポーツ用品市場は特化型、多ブランドになる?

スポーツ市場のなかでスポーツ用品の市場は4分の1(約1.7兆円)を占める大きな市場です。プロスポーツ市場は全体の10分の1しかないので比較すると大きな市場であることが分かります。

先日、米スポーツブランド「アンダーアーマー」の日本総代理店の運営会社を伊藤忠商事が買収するニュースがありました。伊藤忠商事といえばスポーツ用品大手の「デサント」に対してTOB(株式の公開買い付け)をしたのが記憶に新しいです。デサントは競技別に多ブランド展開をしている国内メーカーです。伊藤忠自体は今回のドームの買収から既存の経営資源自体を再構成、再配置、そして再利用し、付加価値を最大化して利益を伸ばしていくと思われます。

スポーツ用品市場を分野別に見ると、スポーツシューズが約3000億円、アウトドアが約2100億円。ゴルフも約2500億円、釣りも約1300億円と大きな市場がそれぞれあり、いずれも伸びている市場です。(2017年、2020年のデータより)

一方、野球・ソフトボール、サッカー・フットサル、スキー・スノーボード、テニス、などはコロナ前から市場が縮小していました。少子化によるスポーツ競技人口の減少が競技スポーツに影響を与える一方で、スポーツシューズやスポーツアパレルを普段着として着用するニーズは広がり、アウトドアスポーツ領域が伸びています。

コロナ前の市場としては、インバウンド需要やランニングブームもスポーツ用品市場を活気づけており、市場の拡大が続く見通しでした。健康志向が高まりマラソンやジョギング、筋トレする人が増えてきたが、コロナで巣篭もり需要によるオンライン向けのものやリカバリーウェアーと言った新しい分野へのシフトも出てきました。変わらず増加するシニア層の需要も市場拡大に寄与するものと考えられます。

販売においては、小売りは米国の4兆5000億円に対し、日本が約1.7兆円。D2C企業の成長など販売チャネルは多様化していますが、Doスポーツ市場の活性化が必須と思います。

特化型のブランドと多ブランド展開が増えてくる?

スポーツシューズは何故伸びつづける市場であり、シューズ特化のECサイトでも伸びるのか。中国やアメリカではシューズに特化したCtoC売買のサイトでもユニコーン企業が存在します。

靴はみんなが履くから?シチュエーションによって変わるから?何が大きく違うかというと「価格変動」です。靴は販売直後に価格が落ちたあと、もう一度上がる面白いアパレルなのです。履く以外にコレクションしたりプレミアがついたりするので、そもそもの価格も高く設定しやすいです。シューズはブランド力も高くマニアも多く特殊な市場が生まれ消費以外にマーケットが生まれるのが大きな要因でもあります。

モノはあくまで消費する物ですから、消費者に使ってもらってなんぼみたいなとこはありますがマーケティングしてお客に届け、最終的にはブランド化し、選んでもらうことが大事です。消耗品が有利なのは消費し続けるとこにあるでしょう。

スポーツ×ライフスタイルをコンセプトにした市場も伸びていますが、最も重要なのは対象者の母数。NIKEが"If you have a body, you are an athlete.(体さえあれば、誰でもアスリート)」という言葉の通り、スポーツを普段しない人でも知ってるブランドであり、着用するまでになりました。広く市場を捉えることは重要になってきます。

スポーツのモノ市場で戦略を考えるなら先ず何をやるかを考えると競技に絞るモノ市場はやるべきではないと思うかもしれませんが、0→1の場合、何から始めるのかが最も重要であり、これから時代そして特化型ブランドが選ばれる時代になっていくのではと思っています。

特化型はプラント機能性や使用シチュエーション、ブランドストーリーが一定の層に深く刺さるブランドのことです。パフォーマンス向上は勿論のこと、モノが溢れかえった現代において感情との結びつきが強いスポーツ領域は特にアパレルや道具の選択の意思決定において“感情”が重要です。

100万人に受けるものよりも5万人の強いニーズ、感情に刺さるものの方が選ばれる傾向になっていくでしょう。店舗で販売よりもEC化が進んでいく近年ではオンラインブランドコミニティの中で全国どこでもアプローチと売買が可能です。

NIKEやadidasのようなメガブランドは別ですが、益々特化ブランドが増えていくのではないと思われます。実際、数億円規模の売上の特化ブランドを複数展開してる事例もあったりと、1ブランドのロゴを様々な競技やライフスタイルに展開していくパターンよりも、ブランドは違うがオーナー会社が同じで、独立したブランドで運営や販売など経営リソースを共有する時代になるのかなと思います。

規模の経済でもあるので「個があつまった集」の体制から「集が集まった群」の体制にブランドを移していかないとスポーツで300億以上を目指すなら必要だと思います。売上10億を30ブランド作る会社も出てくると思います。

この流れは業界問わず、スポーツ用品に限らず、起きていく流れだと思うので弊社としても時代の変化、市場環境の変化に即した戦略を作っていきたいと思います。

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橋本 貴智
自分にしか発信できない、スポーツに関わる全ての方にとって役立つ情報をGiveし続けたいと思います。