ヒトとのキョリ感。
セブンイレブンの石鹸を手渡されて、シャワールームの扉を閉める。
二日酔いの朝に飲んだ「アイスコーヒー」。
少しだけ潔癖症なところがあるらしい、こまめにテーブルや床を拭くために使っているアルコール入りの「ウェットティッシュ」。
「シャンプー」に「ボディソープ」。
この人の生活はセブンイレブンでできている。
秘密基地みたいなマンションの一室に置かれている本棚に並べられた本たちを、右上から左下まで眺めると、見覚えのあるものも数冊並んでいた。
「ああ、これ私も読んだよ~!」
朝ごはんを買いに出かけたあの人を待つ、
一人だけになった部屋で、嬉しくなって声が出る。
作者ごとに綺麗に揃えられている本棚の中には、仕事の本や資格試験のテキストも並んでいた。
まだ会って数回のあの人という人間が、どんどん私の中に流れ込んでくるようで、少しだけ胸がくるしい。
表には出さないけれど、ちょっとだけさみしがり。几帳面。
周りに合わせて、ふざけたりすることもあるけど、根はきっと物凄くマジメな人。半年前に彼女にフラれた。
女の人からよく冷たいって言われるみたいだけど、優しさを表に出すのが苦手なんだと思う。
石橋を叩き続けて渡らない、それを見ている私をもどかしくさせるタイプ。
ある程度の距離を置いて様子をうかがっているばかりのこの人の、違う顔が見てみたくなって、
ただの好奇心だけで近づいた。
ちょっとした興味本位で、焼けた肌色の、がっしりとした腕をつかんで引き寄せ、シングルベッドの上でキスをした。
別にスキとかそういうのではないと思うから、
どうか、その一見冷たそうな、これっぽちも私に関心なんてないように見せている、その見た目のままであって欲しい。マジメそうに見えただけで、テキトウな人であって欲しい。
本当は、こんなつもりじゃなかったのに。
距離感が分からないの。
ただ、だれかと一緒に楽しい時間を過ごしたかっただけなのに、なぜだかいつも相手を苦しめてしまう。
一人ぽっちになった部屋で、そんな過去を思い出して、あの人との未来を想像して、心が空っぽになった。
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せっかくの3連休、なんにもする気が起きなくて、眠たくても布団に入ると眠れなくて、久しぶりに「モテキ」の漫画とドラマをみていました。
やっぱり小宮山夏樹って魅力的。