空手との出会い
僕と空手の出会いは、小学2年生の秋でした。
母子家庭で育った僕ですが、父からは色々なことを学びました。
頭がよく、物知りで、手先も器用。
なんでもできて、なんでもつくってくれる。
友達に自慢したくなるような父でした。
そんな父と遊びに出掛けた帰り道、「一緒に空手をやってみないか」と唐突に誘われました。
僕は、やってみたいと二つ返事をして、次の日曜日の朝迎えに来てもらう約束をしました。
そして迎えた稽古初日。
黄や紫、緑や茶の帯を締めた沢山の人達が整列しているなか、僕は一番端っこの方で、緊張と興奮を抑えながら立ち尽くしていました。
皆の視線の先には、黒の帯を締めた、見たことのない父の姿がありました。
次回は、『父の背中を追いかけて』です。