大味という概念と足し算料理の理念について
「これは大味だなぁ」
かつて知り合いのイタリア料理シェフが料理を食べていた時につぶやいた一言だ。
それまで僕は、それこそ味はガンガン打ち込めばもっと美味しくなるという少年漫画的な発想をよいものだと認識していた。家のカレーは具材を足せば足すほど美味しくなるというような感じである。
けど、自分で実際に料理をつくってみると、事はそう単純ではないというのはよくわかった。具材や味を足しすぎると、どこかで味の焦点がぼける。しっかりと味に輪郭を持たせたいのなら、あまり食材は入れすぎない方がいい事が多い。
それに何でもかんでもごっちゃにするのがおいしいわけでもないというのもよく理解できた。具だくさんカレーにしても、いろいろな具材を入れて煮込んだ時の味と、それをミキサーにかけて撹拌したものだと、味がかなり変わる。
素人的発想だと、後者の方が美味しそうに思えてしまうものだけど、以外や以外、後者は結構ピンぼけしたような味がする事の方が多い。これは本当に驚いた。そしてそれを何度も経験する事で、僕もようやく「大味」の概念がハッキリとみえるようになってきた。
イタリア料理とフランス料理の差
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