年間300杯のラーメンを食べて、刺さったお店について色々書いていく~その2~

守破離という言葉がある。


さすがにこの言葉の意味については何度も聞いたことがある人が多いと思うので繰り返さないが、じゃあ実際問題として食事を食べる側として、守破離を意識できている人が何人いるだろうか?


自分自身がそうだったので懺悔の意味も込めて記述するが、多くの人は食べ物を


美味しいか・美味しくないか。高いか・安いか


でしか判断しない。


これ自体はもちろん大切な食事評価因子ではあるものの、じゃあそこに守破離があるのか?と問われたら、正直な事をいえば個人の感想以上のものは何もない。


僕が思うに、守破離というのは、誰に対しても説明が可能で、かつ歴史や技術のような系統だった文脈を踏まえた上でモノを論じるという事だ。


だから美味しい!99点だとか、コスパが悪い!というのは、寄って立つ文脈が個人の主観にのみ重点が置かれた感想でしかない。


別に感想を述べるのが悪い事だとは思わないけど、それだと何かモノを語るにおいては片手落ちのように僕は思う。少なくとも、建設的な議論は発達しないだろう。


じゃあ現実問題として、食事の守破離が何かというと、それは枠と調理技術である。


ラーメンでいえば、例えば喜多方ラーメンだとかラーメン二郎、家系といったものが”枠”に相当するし、麺の加水率だとかスープの具材、トッピングをどう作るかといったものが調理技術に相当する。店主の経歴なんかも、誠に重要なファクターである。


そういう”枠”や調理技術を意識した上でモノを食べると、食事に対して建設的に語れる世界がグッと広がる。少なくとも食べログの星3.5だとか、ミシュランガイドに乗っているから、といった要因ではなく、料理人ともある程度は意見交換が可能な形でのコミュニケーションが可能になる。


だから個人的には、そういう因子を気にして、皆さんには食事を楽しんでもらいたいなと思う。難しいことを考えずに食事を楽しみたいという人はそれで全然いいとは思うのだが、3度の食事以上に食事の事が好きだという人は、そっちの道に迷い込んだ方が絶対にいい。


ラーメンハゲが客は情報を食べてるんだとかつて言ったが、ぶっちゃけた事をいえば情報と共に食べる食事の方が、情報なしに食べる食事なんかよりも絶対に美味しい。情報は、メシをより美味しくする為にも、積極的に活用すべきである。


さて、じゃあ実際問題として、どうやって情報を手に入れればよいのだろうか?


実はこれが思っている以上に難しいのである。僕も随分と長いあいだ、ラーメンに対して興味はあったものの、枠をどうやって把握すればよいのかがサッパリわからなかった。


食べログを丹念に読み込んで、点数がよい場所を巡ってもイマイチよくわからないし、家系だとか二郎系みたいにある程度の系譜をオタクが組み上げてくれているところならまだしも、ラーメン全体のジャンルを理解しようとなると、これがもう全然よくわからないのである。


そうしてほとほとに困り果てたのだが、ある日を堺に、僕のラーメン巡りは非常に円滑に運ぶことになったのである。そのキッカケとなったのが…



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