#分解のススメ 「揚げて炙ってわかるコンピュータのしくみ」(秋田純一)はデジタルと物理的な回路の間をつなげてくれる本
秋田純一教授 @akita11 の新刊「揚げて炙ってわかるコンピュータの仕組み」、Amazonで発売日1位!早速読んでみた。
コンピュータの根っこがわかる面白さ
この本はハードウェア分解・マイコンチップ開封の本でもあるけど、なによりもわかりやすいコンピュータサイエンスの本として書かれている。
第1章はコンピュータが進化し、かつては専用の部屋が必要だったほど大きく高価だったものから、今では部品としてあらゆるものに搭載される(普通の自動車には部品として100を超えるマイコンチップが入っていて、燃料を数えたりエンジンの点火タイミングを調整したりしている)ようになるまでの歴史。
第2章からはコンピュータが仕事をこなす仕組みに入り、第2章のソフトウェア、第3章のハードウェアと、それぞれ明快に「コンピュータとは何で、どうやって仕事をこなしていくか」の解説をしていく。
0と1の二進数だけで足し算の計算ができること、引き算はマイナスの足し算、掛け算は足し算の繰り返し、割り算はその逆と考えると足し算ができればどのような計算もできる、のような根本的な説明から始めて、その加算機が実際の回路になり、回路が半導体上に焼き付けられて集積回路(IC)そして大規模なコンピュータとなっていく様子の説明は圧巻。
メモリアドレス、仮想記憶などと階層的に、ハードとソフトの両面から説明していく様子はとても明快だ。かなりたくさん挿入されている図もわかりやすい上に具体的な数式含めて突っ込んで把握しやすい。
すっかりわかったつもりになっていたことでも、ページをめくるごとに新しい発見があり、コンピュータサイエンスの本を初めて読む人も、もともと好んで読むような人もオススメ。たとえばこの本読んだような人なら間違いなく楽しめる。
揚げて炙ってわかる
第4章からの後半は、実際にチップを揚げて炙って、チップ内の構造を解析し、ムーアの法則や互換チップの謎などを体験していくものになる。
集積度の向上や、ピン配置を見るところから互換チップの中身を検証していくところなどは、上の秋田先生トークでも紹介されている。とてもワクワクするものだ。後半は、ハードウェアハッカーを楽しんで読んだような人ならぜひオススメ。しかも、解説はハードウェアハッカーよりわかりやすいと思う。
今夜、発売記念トークイベントやります。
発売を記念して、今夜20:00- 秋田先生のトークイベントをやります。 Youtube Liveでも配信するので、ぜひ。