【猿人】人類はなぜ二足で歩くようになったのか?その答えは一夫一妻...!?【直立二足歩行】
どーも、たかしーのです。
今回は、『猿人』について、書いていきます!
そもそも猿人とは?
類人猿とヒトの中間的な形態を持つ初期の人類
『猿人』とは、約700万年前にアフリカ大陸に出現し、約130万年前まで生息していたと考えられる初期の人類のことです。
「猿人」という呼称は、類人猿(ゴリラやチンパンジー、オランウータンなど)とヒトの中間的な形態を持つことから、その名が付けられました。
現時点で、最古となる人類は、アフリカ中央部のチャドで発見されたサヘラントロプス=チャデンシスとされています。
類人猿よりも犬歯が小さく直立二足歩行できるのが特徴
『猿人』は、類人猿と違って、以下の特徴を持っていたと考えられています。
直立二足歩行:他の類人猿と違って、二足で歩くことができた。
犬歯の消滅:類人猿よりは小さくなった。
石器の使用:石を加工して道具として使用していた。
脳容積の増大:現代人の3分の1以下ではあるが、類人猿よりは大きかった。
なお、これら特徴をもった「猿人」ですが、われわれ新人(ホモ=サピエンス)の直接的な祖先ではありません。←ココ重要!
最近の研究では、人類と呼ばれる種は25種もあり、その中で進化や分化、絶滅を繰り返した結果、唯一生き残った種が、世界中のすべての現代人の起源である新人(ホモ=サピエンス)とされています。
ですが、類人猿と同じ祖先から分かれて進化を遂げた「猿人」は、われわれ現生人類の進化の過程において、重要な役割を果たしたとも言えます。
なぜ「猿人」は直立二足歩行したのか?
ところで、なぜ「猿人」は、類人猿と違って、直立二足歩行を始めたのか?
これは現在でも解明されておらず、様々な仮説が提唱されています。
これまで通説だった「環境変化説」
「猿人」が住んでいた環境が、気候の寒冷化に伴って、森林が減少してしまい、草原が広がるようになったことから、見晴らしを良くするために二足歩行するようになったという説です。
かつては、これが通説であるとされていましたが、現在ではこの説は否定されているようです。
現在有力な説とされる「食糧運搬説」
そこで、最近の有力な説として挙げられているが、道具や食べ物を持ち運びやすくするために二足歩行になったという説です。
それまで、中腰の態勢で生活することが長かった彼らですが、そこからモノを運ぶ必要に迫られた結果、重たいモノでも長く運べるよう、二足歩行するようになったのでは?と考えられています。
では、なぜ彼らはモノを運ぶ必要があったのでしょうか?
その理由は、のちほど書いていきます。
他には「日射病回避説」や「エネルギー効率説」なども
その他には、二足歩行した方が日射を受ける面が少なく有利だったからと唱える「日射病回避説」や、四足歩行よりも二足歩行の方が長距離移動に有利だったからと唱える「エネルギー効率説」などといった説もあり、今でも議論が行われています。
いずれにせよ、発掘された化石から、彼らが直立二足歩行していたことは明らかであり、ここから「猿人」は、類人猿と種を分かつこととなります。
また、直立二足歩行するようになった結果として、歩行に使っていた前足は「手」となり、道具を持って使用することができるようになりました。
そして、今後だんだんと大きくなっていく人類の「頭脳」を支えるための土台も、このタイミングで作られることとなりました。
こうして考えると、不思議なことに、直立二足歩行になったことで、劇的にヒトに近づくようになったことがよくわかります。
なぜ「猿人」の犬歯は消滅したのか?
他に、ヒトが持つ類人猿と異なる特徴として「犬歯の消滅」があります。
確かに、類人猿には立派な犬歯がありますが、「猿人」はこれがとても小さくなっています。これは、一体なぜなんでしょうか?
そもそも生物が、同じ種とは異なる形質を獲得するためには…
① 生存や繁殖に有利であること
② 子に遺伝すること
この2つの条件を満たす必要があります。
これらの形質が、自然選択(または自然淘汰)によって、種全体に広がる現象を「進化」と呼んでいます。
これは、イギリスの生物学者チャールズ・ダーウィンが、1859年に発表した『種の起源』で述べています。いわゆる有名なダーウィンの進化論です。
↓ 「ダーウィンの進化論」については、こちらをどうぞ。
つまり、「犬歯の消滅」は、これら条件とマッチしたことで、形質として獲得していったことになります。
犬歯が消滅したのは一夫一妻制になったから
もともと類人猿は、多夫多妻制の社会を形成していることから、メスを奪うために、オス同士が争い合う習性を持ちます。その結果として、武器となる犬歯が発達したものと考えられています。
一方、犬歯が消滅した「猿人」は、オスと争うには弱いことから、一見メスとつがいになることが困難なため、生存や繁殖に不利なようにも見えます。
ですが、「猿人」は、類人猿のようにオスと争うことは嫌い、1人のメスに対してアピールをして、生まれてきた子供を育てることを選んだ、つまり一夫一妻制をとっていたと考えられています。
なので、メスを奪いあう必要がなくなった(ただ家族になる前はあったかもですが)ことから、「猿人」のオス同士の争いは、類人猿に比べて穏やかになり、その結果として、武器としての犬歯は必要なくなり、「犬歯の消滅」につながったというのが、理由になります。
直立二足歩行になった影響も大きい
この「犬歯の消滅」につながったことは、「猿人」が直立二足歩行になったこととも大きく関連しています。
もともと類人猿は、木の上で生活をしていますが、「猿人」は木から降りて生活をしていたと考えられています。これは環境の変化によって、森林が減少したことが原因とされています。
また、類人猿のオスは多夫多妻制のため、子供が自分の子かどうかを認識することが困難ですが、「猿人」は一夫一妻制のため、子供が自分の子かどうかを認識することができます。つまり、自分の遺伝子をダイレクトに自分の子供へと受け継がせることができるというわけなのです。
こうした背景から、「猿人」は類人猿との争いを嫌い、一夫一妻制の家族を形成して木から降り、そこから自分の子供を育てるべく、遠くまで出向いて、食べ物を集めて運ぶようになったとイメージすることができます。
つまり、家族を養う必要性から、犬歯は消滅し、直立二足歩行をするようになったとも言えるのです。(「食糧運搬説」の理由がコレです)
なので、この「食糧運搬説」をベースに、ダーウィンの進化論と関連付けてみると、
・他のオスと争うエネルギーを食べ物を持ち運ぶことに充てた
→ 森林がなくても遠くまで移動して、食べ物を確保できるようになった
⇒ 結果として「生存や繁殖に有利であること」(条件①)につながった
・オスが持ち運んだ食べ物でメスが自分の子供を育てるようになった
→ その子供がやがて自分の子供を生み、それが何世代も繰り返された
⇒ 結果として「子に遺伝すること」(条件②)につながった
といったことから、「猿人」は「直立二足歩行」と「犬歯の消滅」といった異なる形質を獲得した、すなわち進化したと言えるわけなのです。
おわりに
今回は、『猿人』について、書いていきました!
まさか、一夫一妻制になったことが「直立二足歩行」や「犬歯の消滅」の形質獲得につながったという説には、驚きました。
ですが、今後の考古学の発見によって、さらにまた新たな有力な説が出てくるかもしれないので、ここはとても楽しみな部分でもありますね。
なお、記事にするにあたり、なかなかまとめることが難しかったので、NHKの過去の番組「人類誕生」を観ながら、猿人についてのイメージをつけてから、書くことに臨みました。
ちなみに、番組のCGアニメはスクウェア・エニックスさんが手掛けていることもあり、実写と見間違えるようなクオリティで、猿人たちの暮らしを垣間見ることができますので、とてもオススメです!
他にも、歴史上の人物や神話などをベースに、記事を書いていく予定ですので、是非フォローなどしてもらえるとありがたいです!
それでは!