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心が広いということは薬が効いたということです

昨夜、寝たふりしているうちに本当に寝てしまったのかと思った娘は本当には寝ておらず何度もトイレに起きてきた挙げ句、薬の時間に声をかけてもガン無視です。その後もトイレに出てくる度に追いかけて「薬飲んで」と頼みますが無言でじろりとにらんでガン無視。やな感じです。

こもっている部屋の中で大声で叫んだりはしていません。ただ単に私の「薬を飲んで」という頼みを頑なに無視しているだけです。いわゆる拒絶というやつです(多分)。

薬、飲んで欲しいんだけどなあ。困りました。

夜の12時近くまで何度も声をかけましたがダメです。諦めて寝ようかと思ったら起きてきました。トイレです。トイレから出てきたところで声をかけます。

「薬飲んで」

またじろりとにらみつけて無言で通過。そんなあ。

しょうがないのでテーブルの上に水を入れたコップと薬を乗せた皿を置いてラップをかけておきました。夜中に起きてきたら飲むでしょう。ああ、でも、食べるかと思ってテーブルに置いた小さな菓子パンも食べてないんだよなあ。今日は色々ダメだってことかなあ。

そのあと娘は夜中に2度トイレに起きてきました。娘が部屋に戻ってから薬を飲んだかどうか確認します。だめですね、飲んでいません。パンも食べていない。なんというか。

心配なのは、このままずっと「もう二度と薬は飲まない」みたいな方向に進んでしまうことです。そういう可能性もないわけではないのです。そうなったらどうしたらいいのでしょうか。薬を飲まないと娘は確実に状態が悪くなります。一度や二度飲まなくても平気ですが、これが一週間二週間一ヶ月二ヶ月と続くと、ある時前触れもなく突然爆発することになるはずです。それはいやだ。

とか、そんなことを思いながら寝ました。

朝、6時頃にまた娘はトイレに。今回もまた娘が部屋に戻ってからテーブルを確認に行きます。飲んでませんね。これはもう本当にダメなのかも。

8時、目覚ましで起きます。今日の娘の食事は既に昨日のうちに買ってあります。しめ鯖(半額)と南蛮漬け(半額)です。それに加えてサラダとぬか漬け(ナスとキュウリ)を用意します。私が出てから食べればいいです。

ダメ元で声をかけてみることにします。

「コーヒー飲む?」

しばらく待っているとガタガタと音を立てて娘が出てきました。

「コーヒーは飲むんだ」

「コーヒー飲むよ」

そうですか。

お湯を沸かしてレギュラーコーヒーを淹れます。朝からいい香りです。

いつものように娘のコーヒーには砂糖とミルクを。

コーヒーを飲み終えた娘に聞いてみました。

「薬飲んで」

「んあ」

よかった、飲んでくれるんだ。

特に嫌がるでも怒り出すでもなく普通に飲んでいました。昨夜のあれはなんだったんだ。

その後部屋に戻った娘はしばらく私が静かにしていたらいなくなったと思ったのか、部屋から出てきて冷蔵庫の中のしめ鯖と南蛮漬けを取り出していました。

「パパまだいるよ。もう出かけたと思ったでしょ」

娘はニヤリと笑っていました。

薬、効いたのかな。

「しめ鯖、ひと切れもらうね」

「いいよ」

「南蛮漬けも、もらうね」

「いいよ」

心が広いということは薬が効いたということです。よかった。

本当によかった。

今日の日中も起きていたようです。夕食は要らないとのこと。多分そうだろうと予測していました。なぜなら朝食が盛り沢山だったからです。

明日の娘の食事は私が帰りに買ってきた弁当です。電子レンジは居間のテーブルの上に置いてあります。たまに本当に調子がいい時は娘は弁当やおかずを温めているようです。よっぽど調子が良いときだけですが。

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高島利行
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