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読んでいるふりをしなくていい今となっては本を手に取ることもありません

家にはある程度の冊数の本があります。居間の壁の本棚は(元)妻の楽譜と漫画、テーブルの横の(元)妻の本棚はごっそり整理して空きが多い状態。最近はほとんど使っていない私の部屋の本棚は私の本を入れすぎて棚板が歪んでいます。床には私の本に加えて娘の参考書やらなんやらが積まれています。娘の部屋の机の下の本棚は娘のアルバム等。家の中を整理した時に本はかなり処分しましたが、それでも随分と残ってしまいました。私の本を処分しなかったのと娘の参考書やらなんやらも中途半端に残してしまったのが敗因です。

娘が小さかった頃から家の中に本だけはそこそこあったと思います。その頃から床に積んだままの本もあったので整理整頓はされていませんでした。居間に大型の本棚を導入する前だったので楽譜は楽譜用の棚からあふれており、棚に横積みになっていたりもしました。私の本と(元)妻の楽譜は同等か楽譜のほうが多いぐらいあったのです。全部置いていきやがったうえに「そのうち持ってくから取っといて」とかなんとかかんとか。何もかも適当。娘の元はやっぱり(元)妻だな。

それはともかく、娘が小さかった頃は本好きに育ってもらいたい気持ちもあり、絵本なども娘が読みたくなったらすぐに読めるようにしてありました。児童書も買ったなあ。読み聞かせとかも(元)妻はやってました。

でも、結局娘が自ら本を手にとって読むということはありませんでした。絵本をパラッとめくったりもほとんど無かったなあ。学校の朝読用に色々と買った本もページをパラパラめくるばかりで読んではいなかったようです。朝読で読んでいたはずの有名な児童書のどこが面白かったか聞いたらなにも答えられずに適当に「名前が面白かった」などと言っていました。学校で静かに読んでるふりだけはできてたみたいなので充分だったかと。

クリスマスプレゼントで『ドリトル先生』シリーズの箱入りセットを用意した時は包み紙を破る時に嬉しそうな顔をしていました。その後、娘が箱を開けることはありませんでした。いや、一回ぐらいは開けたのかも。1ページたりとも読みはしなかったけど。

『ONEPIECE』だけは全巻買い続けています。でももうそろそろ娘はページをめくることもしません。読んでもわけがわからないのは以前からですが、最近は登場人物の区別もつかなくなってしまったようです。そういえば娘は漫画の読み方がわからないらしく、音読してもらった際に背景に書かれた擬音や効果音などを一文字一文字「バババババ」「ドドン」「ハハハハハ」といった具合に読んでいることに驚かされました。セリフも説明も擬音も重きに差がないのです。そりゃ読めないわ。

物語などの読書とは少し違いますが、娘は教科書も読めませんでした。文章を読むということ自体が無理だったんだろうな。小さな頃には(元)妻がつきっきりで勉強につきあっていましたが、娘は解答に選択肢がある場合は「これ?」「これ?」と(元)妻の様子を伺うばかりで自分で考えるということはありませんでした。私は塾講師のアルバイトをしていたことがあります。考えない子は様子を伺います。反応を見て正解を探るのです。それは勉強ではないのでやっても無駄です。反応を確認するだけなら考えてるふりをするよりとっとと答を覚えてしまったほうが早いです。ちなみに「考えないで解答解説を見て覚える」というのは若い頃に知り合った東大生の勉強法でした。ひとりではなく複数人がそう言っていました。彼らのすごいのは解答解説を覚えてしまうだけでなく問題も覚えてしまうので問題を見たら解答解説が、逆に解答解説を見ると「ああ、これはこういう問題で〜」とすぐに出てくるのです。頭の引き出しに限界を越えるぐらいまで詰め込んだ先にどんな問題を見ても解答がパッと出てくる領域にたどり着くのだそうです。やや理解できない領域。異次元。

娘も考えずに覚えるに切り替えたことで中高までの内申点はなんとか乗り切ることができました。試験はダメです。問題を見て解答を思い出す領域には達していません。中間テストなど出題範囲が決まっている試験ではなんとなく覚えているのと近い解答を選ぶなりでなんとかなります。特に暗記ものは覚えた単語を書き込むだけです。小学校から高校まで漢字テストは好成績でした。暗記の極み。でも実力テストなどでの文章題は全滅に近い状態でした。外部で受けた模試とかもひどかったよなあ。入試もさっぱり。センター試験の数学は10点ぐらいだと思うと珍しく本人が自分の状態を把握していました。1問もわからなかったそうです。もしかしたら零点だったのかもしれません。終わってしまえば笑い話です。

家に本があったら勝手に読むようになるもんだろうと思っていました。私がそうだったので。家に無ければ学校の図書館で読んだり本屋で立ち読みしたり区役所の図書コーナーで借りてきたり小遣い貯めて買ってきたり。そうしていつか放っておいても読むようになるのだろうと思っていました。

なりませんね。

考えてみると父も本は読みませんでした。読んでるふりはしてたけど。あれは娘とそっくりだ。でも父は本を読めない読んでいないことにやや引け目がありました。だから読んでるふりをした。娘は読めない読んでいないことに引け目はありません。学校では皆がそうしているから大人しく読んでいるふりをしていただけで、読んでいるふりをしなくていい今となっては本を手に取ることもありません。漫画とか絵本ならとも思うのですが、文字を読むのが無理なようです。

そういうことです。

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高島利行
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