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深夜の気分安定薬

火曜の夜というか夜中、私がもうすぐ寝ようかという時間、娘が居間の電気をつけてウロウロし始めました。

「冷蔵庫の飲み物飲まないで。飲むなら水。水飲んで。おやすみ」

私がそう声をかけると娘は電気を消して部屋に戻っていきました。

寝てくれ、頼む。

すぐにまた出てきました。

「部屋に帰れ」

言っても聞きません。居間のソファベッドに寝転がっている気配。

「居間で寝ないで部屋で寝て」

ソファベッドでブツブツ言っています。

「喋らないで。部屋で寝て。おやすみ」

部屋に戻っていきました。

生理中はよく居間のソファベッドで寝ています。今回もそれでしょうか。

うとうとしていたらまた居間の電気がつきました。なんだよまたかよ。

ふすまがガラッと開けられました。

「怖い」

え、なに言ってんの? 怖い?

「怖い」

「あー、怖いのね。あー、そうなんだ」

しょうがねえなあ。

「なんか温かいもの飲む?」

「温かいもの飲む」

「お汁粉と味噌汁どっちがいい?」

「味噌汁」

了解です。

お湯を沸かして味噌汁を用意します。温かいもので身体が温まったあとに体温が下がる時に眠くなるようなので、それを狙っています。

「おいしい?」

「おいしい」

「怖いの?」

「怖い」

そうですか。

「お味噌汁飲んだら寝てね」

部屋に戻っていきました。寝てくれ、頼む。

ダメでした。

「怖い」

「わかったよ、落ち着くクスリ飲む?」

「クスリ飲む」

こういう時のために気分安定薬を処方してもらっています。袋に「不安時」と記載されたクスリ。まさにこのタイミングで飲むべきクスリです。

「飲んだら眠れるよ」

小さな錠剤を飲んだ娘は「寝るね」と言って部屋に戻りました。

そのあとはすぐに寝たようです。

実際にはそんなにすぐに効くはずはありません。なので、プラセボ効果というか気持ちの問題も大きいはずです。怖い気持ちが湧いてくるけど落ち着くクスリを飲んだからもう大丈夫という安心感。それだけで不安はかなり消えてしまうのです。そうこうしているうちに本当にクスリが効いてきた頃にはすうっと眠りに落ちるのです。

時間を確認したら2時を回っていました。今日はけっこう長丁場だったなあ。バタバタしているとあっという間なんだけどな。

今週の娘はよく眠れない日が続いています。生理中はいつもこんな感じなので慣れました。クスリがあまり効いていなかった頃は生理中は暴れたりして大変だったんだよなあ。これでもかなり落ち着きました。でも便座が血まみれになるのは相変わらずです。毎回トイレ掃除。こちらも慣れたものです。これだけ血が出ていくと貧血になるんじゃないか心配ですが、鉄剤を飲んでるから大丈夫かなあ。

そんなことを考えながら、娘と同様に私も寝不足の日々を過ごしています。

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高島利行
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