持続可能な食事提供のために
①約束食事箋の統一化
ICDコードの様に名称、主要栄養素について国が基準を設定する。
※実際には日本栄養士会が上申できると現場と乖離が減らせる。
メリット:同じ職域で共通言語化ができ、戦力化が早くなる。
デメリット:日本栄養士会の加入率の低さ。
【詳細/例】
0001 常食1800 E1800 P** F** C** 塩分7g以下
0050 蛋白調整50 E** P50 F** C** 塩分6g未満
0060 嚥下訓練食0 E** P** F** C** 塩分**
0061 嚥下訓練食1 E** P** F** C** 塩分**
0062 嚥下訓練食2 E** P** F** C** 塩分**
0063 嚥下訓練食3 E** P** F** C** 塩分**
0064 嚥下訓練食4 E** P** F** C** 塩分**
②食事区分の明確化
”治療の一環”か“生活の一部”かによる嗜好の受入れや報酬等に差をつける。
※治療の一環でも終末期やケモなど明確に区別が必要部分も整備する。
メリット:給食業務内容の明確化による採用のミスマッチを軽減できる。
デメリット:制度が甘いとグレー部分が発生し、ローカルルール化する。
【詳細/例】
”治療の一環”に対し、嗜好食の対応は非効率的な側面が多い。
鯖アレルギーでも聞き取りをすると「昔夏に食べた鯖に当たったからアレルギー」など、解釈の差が激しい。
他科スタッフからの「鶏肉は食べないので鶏肉禁止で」なども訪室して信頼関係を築きつつ、”治療の一環”として栄養についても教育をすることで喫食してくれる例は往々にしてある。
一方で“生活の一部”に関しては本当に日本人の食事摂取基準を当てはめることが正しいのか?を考えなければならない。
医師が常駐しないことからもGLIMの必要性もあるのか?MNAであれば8-11もアウトなのか?など、議論は多い。
この部分も考慮すると“生活の一部”として提供する食事は対応の幅が増えることが想定される。
③セントラルキッチン(CK)の積極的活用
クックチルのみではなく、洗浄のみ、米飯のみ等、特化したCKの検討。
メリット:施設ごとでの各負担の軽減及び省力化
デメリット:CK運営・運送コスト(ただし雇用があればメリット)
【詳細/例】
CKも今後は、配送コストとCKでの稼働に伴う人材確保となる。
ただし、配送コストは逆に考えれば納品先がある内は雇用に繋がるため、安定した事業を見込める。
問題は人材確保と工場地帯や僻地に作るなどはリスクと考えるしかない。
都心部では地代高騰も考えるとハードルが高くなるため、配送ルートを考え、今と同様の工場地帯が現実的だと考える。その中でできる対策はCK自体が何かに特化して機械化をベースに属人化しない運営システムを作ることが必要。
特化したCKを作ると自動的に業務が細分化されるために複数のCKや配送コストについても無碍にできない。
④統一献立の採用
公立病院や公的医療機関よりCKを活用した①に基づく統一献立の導入。
※生活の一部の場合は別途検討が必要。
メリット(給食):厨房業務のパート化、簡素化。
メリット(栄養管理):転院などをした際にも情報把握がし易い。
デメリット:調理をしたいスタッフのモチベーション低下。
【詳細/例】
同じ法人内で転院しても食種名も食事箋も、固さも大きさも違う。
これは喫食者も調理者も作業者にとってもメリットは非常に少ない。
CKを導入することは大きくマニュアル化、統一化することを受け入れる側が理解する必要がある。
⑤既製品の有効活用
2時間前調理を含めた安全性や労働人口減に対し、調理作業を軽減。
メリット:属人化せずに人件費も抑えた継続的な厨房運営が可能。
デメリット:調理技術の低下及び食材料費の高騰。
【詳細/例】
既製品=まずい 手作り=美味しい
既製品=かわいそう、手抜き 手作り=正義
こんな風潮は育った時代の差であることを理解する必要がある。手作りだから提供した100人全員が美味しいと言うことが無いことを理解しなければならない。
“既製品の使用”が満足度向上の阻害要因と思っていること自体も考えなければならない。
⑥冷凍弁当の活用
パート化を進めても土日祝は休み希望が多い等、人が不足する場合に活用。
※①が出来れば特殊な食種は冷凍弁当のみにするとロスも出ない。
メリット:労働時間削減に繋がり、ライフデザイン重視の働き手には良い。
デメリット:見慣れておらず、喫食者からクレームが出る。
【詳細/例】
例えばサイクルメニューを“曜日サイクル”にし
「土曜日の昼食」をCKで作った一点盛りの主菜
「土曜日の夕食」を 〃 丼もの(具材をCK製品)とカップデザート
「日曜日の夕食」を冷凍弁当
にするとした場合には土曜日は少ない人員で下処理や洗浄時間の短縮、
日曜日は夕洗浄時間も短縮になるので終業時間の短縮に繋がる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?