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❨223❩1972.4.11 火 晴 将来の事を考える/ポポ湖(Bolivia:Lago Poopó)
まっ青な空。雲は、一っかけらもない。
気持ちの良い天気。
朝飯を取らしてもらい、九時、町を出る。
皆んな親切な連中だったぜ。
さて、この後が大変。すごい砂利のデコボコ道。
3時迄休まず、6時間歩いて走って、一つの町に着いた。
なのにやっと45kmーーーアベマリヤ!
イヤンなる所だぜ。
地図にあるポポ湖は、殆どかれて、水がないようだった。広い所だ。
夕方寄った店で、チャル・パータまでの道程を聞くと、5kmだと云った。
勢いよく出た事はいいが、行っても行っても 町はなかった。
日が落ちた頃、もう一度聞くと、15kmだと云う。ガッカリ。
この道を15kmじゃあ、夜になってしまうと思い、ちょうどそこに砂漠の中の小さな学校一ー約15人位か?ーーがあるのを見つけ、道を聞いた人が先生ときていた。
住んでいる夫婦の先生に頼んで、教室に泊めてもらう。
何キロ来ただろう?60km前後というところか。
もう明日は、チャル・パータから汽車か車に乗ろう。
一本のローソクの親切。
その灯の下 で、ジ~ンと疲れが心地良く伝わって来るのを感じ、今夜のこの宿を有難く思い乍ら、 明日を考える。
俺はいつも、こういった好意を、本当に有難く受け取っているだろうか?
良い食事と美れいなベッドに寝かせてもらう時のみ、それを親切としてとり、小さなものは上面だけで受けとっているのではないか?
フッと、将来の事も考える余裕が出た。
日本に無事帰れたら、何をやろうか?
・・・やがて、灯が消える。
デコボコ道を走りながら、かすむような道を見ながら、 俺はまた、日本へ帰ってからの事を考えた。
中京へ入り、市川先生と一緒に体操をやるか、安城の兄さんの手伝いをするか、それとも、もっと気楽な他の職を見つけるか。
どれを選ぶか、俺の勝手だが、最も可能性のあるのが先生だ。
だがそれには、もっともっと自分に自信をつけたい。
もっと多くの、身になる経験をしてみたい。
いつも俺は、情にとらわれ、義理にしばられてしまう。
だが自分の思った通りの事をしようと思うと、他人を多少なりとも無視しなければならない。
今の俺にはまだ、その辺の区別が、しっかり出来ない。