「中の下くらいの家庭とそれよりも経済的に恵まれている家庭を比べても、集団として見れば大した差はありません」に、環境より遺伝の影響が大きいことがわかります。『生まれが9割の世界をどう生きるか 遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋』
『生まれが9割の世界をどう生きるか 遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋』は、遺伝子という絶対領域から抜け出す方法を教えてくれるビジネス書です。
「遺伝:トランプや麻雀などのゲームで最初に配られた手札のようなもの」「自由エネルギー原理:脳は予測器である」「それができる内的な条件と環境が揃った時に、才能が生み出される」など、遺伝子を有効に生かし、才能を開花させることができます。
特に「環境は純粋に環境の影響とは言えない:その人の遺伝的素質が多かれ少なかれ反映される」は、「環境が悪い」「お金持ちじゃないから報われない」の考え方を否定する概念です。
「人間にとっての環境とは、感覚器官を通じて脳をはじめとする神経系が認識している、いわば幻想です」と、遺伝子により、環境が歪められるので、環境の要素の割合が低いことがわかります。
「どんな環境であっても、そこには必ず遺伝と環境の相互作用が生じます」となるからです。
遺伝子に翻弄されているサラリーマンは、まずは遺伝子の理不尽な現実を受け止めることから始めてみてはいかがでしょうか。
「同じ両親から生まれる子どもであっても、他人とほぼ同程度にバリエーションがある」「環境側の圧力が低下すればするほど、遺伝的な能力の差がストレートに出てくる」「人間の能力の生かされ方は、突出した個人技ではなく、複数のローカルな人間関係の中で現れてくるものです」などを通して、血のつながった兄弟姉妹であっても、ほぼ別人であることを教えてくれます。
特に「ある程度以上の多様性を備えた環境が存在していて、そこに一定時間以上自由にアクセスできるなら、何らかの能力が何らかの形で自然と発現する」は、どんな環境であっても、能力が環境を打ち破ることを示しています。
さらに子どもの学習方法として、「静かで落ち着いた雰囲気の中で、きちんとした生活をさせること」「本の読み聞かせをすること」だけやればいいことは、両親にとっての朗報です。
子育てに悩んでいる親は、教育の本を読む前に、遺伝子の本を読むといいかもしれません。
オタクの視点から言うと、「才能のある人の条件」を趣味とマッチングさせることで、オタクとして大成させることができます。
才能を開花させるには、「特定の領域に対してフィットしていること」「学習曲線が急上昇のカーブを描くこと」「十分な環境が与えられていること」の3つの条件を重ねる必要があります。
オタクは没頭しやすい才能があるので、ある意味「才能がある人」なのかもしれませんね。
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