ひょんなことから「魔王の杖」を手に入れてしまった低ランク冒険者のヘルミーネ。彼女が持つのは、闇属性の強力な魔力を秘めた特別な杖と、魔王から贈られた「魔王の加護」。一人ぼっちでも無…
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ヘルミーネと魔王の杖 第1話 正体不明の杖
ヘルミーネは初級レベルの魔法使いで低ランク冒険者だ。ある日、クエスト帰りに冒険者ギルドに立ち寄ると、ゴミ箱にボロの魔法の杖が捨てられていた。自分の杖よりはマシそうだ。受付係に尋ねる。
「この杖は本当に捨てるんですか?」
「捨てるよ。Aランクパーティーが狩ってきたモンスターが持ってた物だ。どうせ食われた冒険者の物だよ。持ち主なんか出てくるわけない。君にあげるよ」
彼女は、持ち主不明の杖をも
ヘルミーネと魔王の杖 第2話 なぜ、誰も信じない?
ヘルミーネはギルド受付で魔族の森で倒したドラゴンの角を換金しようとした。受付は驚く。
「どこでこんな貴重な物を拾ったの?」
「私が倒したドラゴンから取ったものです」
居合わせた冒険者が一斉にどよめく。
ギルドマスターが呼ばれて来る。
「嬢ちゃん、嘘は良くないぞ。まあ、たまたま森で拾ったんだろ」
ヘルミーネは疑われるのに納得した。
本来、私のような低ランク冒険者がドラゴンを倒せるわ
ヘルミーネと魔王の杖 第3話 どうやって、強大な攻撃魔法を身につけたのか?
ヘルミーネは魔法訓練所を卒業後、引き続き訓練生として在籍した。圧倒的な魔力を見せつけ、初心者レベルではないとの判定で講座を半ば強制的に卒業させられている。彼女は大金を払って、練習場を一つ貸切った。ドラゴン討伐で高額な報酬を得ていたから余裕がある。攻撃魔法習得の練習を積む。
ヘルミーネは未だに、安定した技術としての攻撃魔法を何一つ習得していない。
私の不注意で杖の魔力が暴走するのはまずいし