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『銀の匙』の泉を求めて -中勘助先生の評伝のための基礎作業 (83) 就職事情

 大学を出れば中等教員の免状がもらえましたが、担当科目は卒業した学科によって規定されていて、哲学科を卒業した安倍さんが手にしたのは修身の免状でした。ところが 中等学校の現場では修身を教えるのは校長か教頭でしたので、大学を卒業したばかりの安倍さんが修身担当の教員として就職することはできませんでした。英語なら需要もあり、就職にも比較的都合がよかったようですが、英語の免状が与えられるのは高等学校の英語の点数が80点以上の者に限定されていて、安倍さんはこれに該当しませんでした。

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中勘助先生は『銀の匙』の作者として知られる詩人です。「銀の匙」に描かれた幼少時から昭和17年にいたるまでの生涯を克明に描きます。

●中勘助先生の評伝に寄せる 『銀の匙』で知られる中勘助先生の人生と文学は数学における岡潔先生の姿ととてもよく似ています。評伝の執筆が望まれ…

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