『銀の匙』の泉を求めて -中勘助先生の評伝のための基礎作業 (150)詩篇より
次に引く詩は『蜜蜂』の4月19日付の記事の冒頭に書かれています。
雨も悲し
風も悲し
照る日もまた悲しかりけり
四十年
嵯峨たる行路
われを守り
われを導き
沮喪する我を励まし
くづをるる我を起たせ
狂気より癒やし
死より救ひ
友となり
母となり
手を携へて歩み来し人
たぐひなき善良柔和の人は
ゆきて帰らず旅立ちたれば
夜も悲し
昼も悲し
朝ゆふもまた悲しかりけり
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1,047字
中勘助先生は『銀の匙』の作者として知られる詩人です。「銀の匙」に描かれた幼少時から昭和17年にいたるまでの生涯を克明に描きます。
●中勘助先生の評伝に寄せる 『銀の匙』で知られる中勘助先生の人生と文学は数学における岡潔先生の姿ととてもよく似ています。評伝の執筆が望まれ…
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