『銀の匙』の泉を求めて -中勘助先生の評伝のための基礎作業 (152) 匂い菫の押し花に寄せる(その2)
中先生と末子さんの花壇作りにまもなく山田さんが仲間入りしました。それが縁になって、一高の山田さん以外の友人たちもたびたび中先生の家に集るようになりました。みな末子さんが好きになりました。
山田さんが花壇作りに加わったのはいつころなのでしょうか。これを考えていくには中先生と山田さんが親密に交友するようになった時期を知らなければなりませんが、中先生に「交遊抄」というエッセイがあり、一高時代の山田さんとの交遊が回想されています。それによると、一高の二年生のとき中先生と山田さんは寮で同室になったということです。
ここから先は
1,163字
中勘助先生は『銀の匙』の作者として知られる詩人です。「銀の匙」に描かれた幼少時から昭和17年にいたるまでの生涯を克明に描きます。
●中勘助先生の評伝に寄せる 『銀の匙』で知られる中勘助先生の人生と文学は数学における岡潔先生の姿ととてもよく似ています。評伝の執筆が望まれ…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?