『銀の匙』の泉を求めて
-中勘助先生の評伝のための基礎作業 (35) 山田又吉の書簡より
藤村操の死は一高の同級生たちに深刻な影響を及ぼしました。一高の第一年目の三学期のことで、秋9月から二年生になりましたが、安倍さんによると二年の第一学期に組担任のドイツ語の保志虎吉先生から、この組は一年のときはよくできて評判もよかったのに、この頃どうも勉強しなくなったようだ、引き締めてやってもらいたいという主旨の論告を受けたことがあったということです。藤村さんの事件が組全体に動揺とショックを与えて、学科を勉強する気持ちが薄れてきたのかと思うというのでした。せっかくの保志先生の