管理部長とは何か?
前回書いたnoteからはや一年が経とうとしてます。
2024年は、娘が新幹線の中で初めての引きつけを起こす正月から始まったけど、夏にはクライアントの1社の取締役に就任する機会をいただき、秋の終わりには第二子を授かり、と自分にとって転機となる1年間となりました。
そんな1年の終わりが迫ってきたある日、港区にお勤めの女性(夜職ではない、生息しているわけでもない)から、「管理部長って何をする人なんでしょうか?」という質問をいただきました。
その場ではあれこれ口頭では答えたものの、お互いにしっくり来る感じではなかったので、宿題として預からせていただきました✍️
今もこの駄文を書きながら、あれこれ考えを巡らせているところで、本記事はそんなnoteです。
役職名に意味はない
管理部長とは?という問いに、最初は機能面の切り口で考えてみました。
経理・財務・法務・総務・内部監査・経企・IR…、その人次第だよな、、と筆が止まりました🖋
次に、CFOと管理部長の違い、管理部長と経理部長の違い、という観点で言語化しようと試みましたが、時と場合によるよなぁと冒頭の結論に至りました😇
結論、管理部長とか、総務部長とか、CFOとか、役職名に意味はないと思います。
なぜかというと、会社のフェーズや組織構成、その人自身のキャリアの変遷によって、同じ役職名でも全く違う職務内容になると考えるからです。
ある会社のCFOが、別の会社の管理部長が同じ役割を担っているということもあると思います。
私自身、前職では管理部長という肩書で、資本政策を考え、資金調達に動いていました。
現在取締役を務めている会社でも、役員就任前に財務部長という肩書でM&Aを推進する一方で、新入社員の貸与スマホの初期設定をしたりもしてました📲
それぞれの役割が重なりあっているイメージですね。
期待役割 と 時間軸 と 影響範囲
形式論から考えるのではなく、実体験も含め、実務上はどうあるべきかという観点で考え直してみました。
一定の階層がある組織には(CXO、部長、マネジャー...)、それぞれの階層に期待する役割の定義が必要です。
この整理がないまま、「今度採用する〇〇さん、イケてそうだから執行役員ね」とか「アイツ頑張ってるからマネジャーに昇格させよう」となると、数か月後には会社も本人も疲れてしまうのではないでしょうか?
短期的な期待役割に対する目線合わせはもちろん、その人に何年先を見てほしいのか、どんな影響力を発揮してほしいのか、という中長期的な合意形成があると良いと考えます。
(上記は、今思えば…という話しで、日々の業務をこなしつつそこまで考えるのが大変なことは重々承知してます🙏)
ここに、等級や、役職に応じた年収レンジと報酬設計なども入ってくると、より具体的にイメージが膨らむのではないでしょうか?例えばこんな感じ。
ついついExcelでまとめてしまうクセがあり、図解するのが苦手なのですが、もう少しざっくりイメージで表していきたいと思います📊
まず、CFOは、会社のビジョンとミッションを定義し、長期的な理想像への道筋を引いて、中期経営計画に落とし込む人材だと定義します。
ただ、この時点では、実行までの解像度はまだ低いので、あえて点線にしました。
ここで、管理部長の出番です。
私は、管理部長は、ビジョンとミッションを見据えた中期経営計画達成のために、リソースの調達と計画の実行の中心となる人材だと考えます。
中計の達成確度を上げるために、あらゆることを実行可能にしていく人材が管理部長です。
資金調達をCFOとともに実施しながら、管理部門の採用や育成を泥臭く行いつつ、内部管理体制を作り上げていく、そんな人材だと考えています。
管理部長が中期経営計画達成までの道筋を作り、マネジャーやメンバーとともに1年、四半期、1か月ごとの目標を達成していく、そんなチーム作りが出来ると良いなと考えています。
管理部長になるには
では、管理部長になるためには、何をすれば良いのでしょうか?
「僕は経理しかやったことないから、労務のことは分からない…」とか、「管理職は未経験だから、採用なんて出来ないかも…」なんていう声が聞こえてきそうです。
私の結論は、「打席に立った数だけ、強くなれる」です。
打席に立つことを恐れずに無我夢中で動いていれば、経験がついてきます。
失敗も含めて、間違いなく打席に立った分だけ成長できます。
自分が実務担当者ではなかったとしても、新しい仕組みを作る議論に主体的に参加していれば、それは自分の血肉となります。
気が付けば、労務も法務もある程度のことは分かるし、採用やオンボーディングもできるようになっているはずです。
管理部長としての約束
私がこれまで管理部長として自分に課してきたことは2つあります。
1つは「ビジネスを止めない」ことです。
就業規則を改訂したり、システムを入れ替える時でも、それがうまく機能しなかった結果、ビジネスが止まることは許されません。
出来る限りあらゆるケースを想定し、失敗してもまた戻ってこられるような保険をかけながら、ものごとを進めていました。
もう1つは「会社をつぶさない」ことです。
これはシンプルに資金繰りです。資金調達ももちろんしますが、1年以上先から逆算し、いつ・誰と調達の相談をすれば良いかのロードマップを引きます。
この作業は、上場企業でも、上場準備をしていない中小企業でも、どのフェーズの会社でも必要な作業だと考えています。
もちろん、この資金繰りが可視化できるような決算体制を構築することも、管理部長としては優先度の高い業務です。
行動スタンス
その上で、次の3つを意識して、様々な課題に対処していました。
自分が無知であることを自覚する
早く、小さく、失敗する
悲観的に考えて、楽観的に動く
まず、自分は万能ではありません。また、自分の知識が正解だとも限りません。自分の考えていることが全てと思った瞬間に、組織の成長は止まります。
自分が無知であることを自覚することがスタートです。
自分の持っているスキルや知識なんてたかがしれているくらいの気持ちで、周囲にいる専門家を頼りまくりましょう。
予算がない会社でも、同じ領域の専門家3人に軽く相談するとか、コミュニティで質問してみるとか、kindle unlimitedで本を2~3冊読めば、お金をかけないでも、大体のあたりはつけられると思います。
この段階ではまだリサーチ期間なので、見当違いの質問をしても、自分が恥をかくだけで済みます。会社にダメージはありません。
さっさと、小さい失敗をたくさんしましょう。
色々調べていくと、あれこれやりたいと前向きな考えになれると思います。ここで一回ブレーキをかけましょう。
「これをやったらこっちができなくなるな」、「ここまで進めると後戻りできなくなりそうだ」など頭の中でシュミレーションしてみてください。
一度や「うまくいけるぞ」と思っても、一晩経てその仮説が正しいかもう一度考えてみてください。もしくは、その考えを周囲にぶつけてみてください。
そうすれば大体の落とし穴は想定できるはずです。ここまでくれば後は実行に移すだけです。
悲観的に考えぬいた後は、楽観的にどんどん動いていきましょう。
実務はどうやって進める?
という小見出しを作りましたが、これ1本で壮大なnoteを書けそうな気がするので、今回はここまでとしたいと思います。
自分の頭の中ではこんなことを考えており、実務のケーススタディを交えながら、別の記事でまたお伝えできればと思います(と言って、半年くらい空いてしまうので、なるべく早く書こうと思います)。
影響範囲を広げる
「入口」と「出口」を考える
形に残す
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今年もあと1か月ですね。
12月を駆け抜け、お互い良い新年を迎えましょう。