(中国)江蘇省連雲港市で大規模な墓群を新たに発見
先日、江蘇省連雲港市は、海州区で新たに発見された大規模墓群の発掘作業を完了し、無事に江蘇省文物局の専門家に引き渡した。
本墓群は連雲港市海州区朐陽街道にある飲馬池西側台地(大成れんが製造所跡地)にあり、典型的な漢代の大型封土墓群だ。墓の数は105基で、時代は前漢・唐末期から北宋・清にまで及ぶ。中でも前漢の墓群が中心で、合計92基と全体の9割を占める。
海州区飲馬池墓地は高台で起伏があり、南が高く北が低い地形になっている。本区域および周辺の区域は地下文物埋蔵区で、これまでにも考古学的発見が多い。以前には、双龍漢墓・張庄墓地など各時代の数百基に上る墓が発掘・整理されており、出土品も豊富だ。そして今回発見された墓群は、日照市海曲地域や淮安市王庄地域で発掘された漢代の封土墓と特徴が一致している。
2021年10月、徐州博物館と連雲港市博物館が当該地域で考古調査を行い、地下に遺物が埋まっていることを発見した。江蘇省文物局への調査・引き渡し申請と国家文物局の承認を経て、2022年2月から9月まで徐州博物館(徐州市文物考古研究所・徐州漢画像石芸術館)と連雲港市文物保護及び考古研究所が合同で、海州区大成れんが製造所の土地で発見された墓や石製の建物の基礎などの発掘作業を行った。そして先日、遺跡は無事に江蘇省文物局の専門家に引き渡された。
今回発掘された遺構は、10平方メートルの調査区36個分で、総発掘面積は約3,600平方メートル。前漢から清までの墓計105基・前漢期の灰坑(遺物のたまった穴)10か所・灰沟(遺物のたまった溝)1本・井戸1本・北宋期の石製遺跡1か所・各種出土品及び標本計391件が発掘・整理された。出土品には時代の特徴が表れており、陶器を中心に玉製の剣璏(剣の装飾品)・木尺・木製の櫛・石印などの貴重な遺物が含まれている。
本墓群の発掘は、連雲港市海州地区における前漢期の歴史文化の様相や社会経済の発展レベル、葬儀・埋葬習俗の研究に有力な資料となるだけでなく、江蘇北部魯南地区の漢代墓群にとっても極めて重要な新資料となる。
今日の翻訳メモ
探方・・・遺跡発掘の際に、正方形に掘る調査区
灰坑・・・考古学用語。古代の人が穴や井戸、建築のために土を掘った場所などにゴミを捨て、ゴミの中の土壌が灰色に変化したもの。
灰沟・・・考古学用語。排水溝などの溝に遺物が溜まったもの。
剣璏・・・剣を帯に固定するための装飾品。