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パピコ

夏になるといつも思い出すので、いつか文章にしたいと思ってました。

青春の思い出です。

高校生の頃、アルバイトに明け暮れていた私。
高校生ながらに仕事が出来すぎた結果、ある日本店のヘルプを任されました。
本店の大宴会場で50人の宴会の配膳をする仕事。

本店に着くと、同い年の女の子が。
今日はこの子と同じ宴会を担当するらしい。
今では名前も思い出せないので、仮にかなちゃんとしましょう。

かなちゃんは笑顔が可愛くて、雰囲気が柔らかいのに仕事はテキパキとこなす好印象ガール。

かなちゃんと共に無事にピークを終え、「おつかれ様、よくがんばったね」と女将から瓶コーラをもらって2人で飲みました。
瓶コーラってなんであんなに美味しい気がするんだろ。瓶に入ってるだけですごく特別な味になる。

すっかりかなちゃんとも打ち解けた帰り道。

「アイス買って帰ろ!」

と、かなちゃんがひとこと。


夏の夜にアイスは名案すぎる。
意気揚々とコンビニに入り、アイスコーナーを見ていると、

「わたしパピコが1番好き。はんぶんこせぇへん?」

と、かなちゃんからの提案。
はんぶんこ……?アイスってはんぶんことかするんだっけ……?
うちのお父さんは16本入りのファミリー向けのアイスを一晩で半分以上ひとりで食べてしまうし、カップアイスはひとり2個買ったら一晩で2個食べていいことになってるし(他の人のアイスには手を出してはいけない)、なんなら家にディッシャーがあって1リットルアイスから好きな分だけ食べる。アイスってそういうもんでは…?ひとつのアイスを分け合うなんてことあるのか…?はんぶんこ…?

アイスをはんぶんこする文化など微塵も無い家庭で育った私は、正直びっくりしたけれども、その時のかなちゃんがあまりに可愛いかったので気づいたら「うん」と返事してた。


コンビニを出て、パピコの袋を開けるかなちゃん。

ここでようやく、
あ、そっか。パピコって2個繋がってるやつか。なるほどな。はんぶんこね。
と理解した。

はんぶんこしたパピコの1本を私に差し出すかなちゃん。受け取る私。

「はい、乾杯。」

にこにこしながら、パピコをコツンと合わせてくかなちゃん。

は???可愛いすぎやしないか?????
なにこれ、これで恋に落ちない人類存在するわけ????

この時の私はめちゃくちゃ動揺してたけど、私が内在的に飼っているキモオタを全力で押さえつけながら「乾杯!」と笑って返したと思う。いやもう実際のところ覚えてない。自分的には平然を装ったけど、めちゃくちゃ気持ち悪いリアクションだったかもしれない。

いやだって、パピコで乾杯してくる女子高生…
本当に、これで恋に落ちない人間がいるなら教えて欲しい。
幸せな気持ちになれるので、私の脳内映像をみんなに共有したい。

なんだかとってもきらきらした思い出として、夏になるといつも思い出す。
私にとってはとても青春でした。

もう名前も思い出せないし、あれ以来会えてはいないのだけど、かなちゃん(仮)素敵な思い出をありがとう。


8月5日はパピコの日。

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高良紗那
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